マンション経営って儲かるの?収入を確実なものにするためのお金の全知識

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これからマンション経営をする上で、収入に関する知識はとても大切になります。
賃貸経営は、そもそも利益率の高いビジネスですが、それにも関わらずマンション経営に苦しんでしまう人がいます。

マンション経営が苦しくなる人は、お金に関する知識が少ない人が多いです。
マンションは、収益自体は赤字になることはほとんどありませんが、キャッシュフローがマイナスとなってしまうことはよくあります。

「黒字なのにキャッシュフローはマイナス?」という話にピンと来ない人も、手取り収入についてきちんとした考え方や計算方法を学ぶことが必要です。

マンション経営で成功するためにも、お金に関する知識を身に着けておくべきです。

本記事では、マンション経営における収入についての考え方を解説致します。
最後までお読みいただき、収入や費用の項目を正確に把握することで、最終的な手取り収入について理解することができるでしょう

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1. マンション経営の基礎知識

最初にマンション経営におけるお金に関する基礎知識について解説します。

1-1. 手取り収入を知るために理解しておきたい「NOI」

NOI(Net Operating Income)とは、不動産投資上の純収益と呼ばれるもので、以下の収入から費用を除いたものになります。

収入
  • 家賃収入
  • その他駐車場使用料等
費用
  • 土地の固定資産税および都市計画税
  • 建物の固定資産税および都市計画税
  • 損害保険料
  • 管理委託料
  • 維持修繕費
  • 共用部水道光熱費
  • 建物メンテナンス費用
  • 入居者募集費用

収入に関しては第2章、NOIの費用については第3章で解説します。

マンション経営のような不動産投資では、利益とキャッシュフローとの違いを十分に意識する必要があります。

一般的にキャッシュフローと呼ばれているものは、いわゆる「手取り収入」に該当します。
この記事で紹介する「手取り収入」はキャッシュフローと同じものであるとご認識ください。

利益」は家賃収入といった売上から、建物固定資産税等の費用を引いたもので、「キャッシュフロー」は収入から支出を引いた手残りとなります。

税金は、収入ではなく、利益に対してかかります。
個人が不動産事業を行う場合、毎年確定申告を行うことになりますが、個人の場合は不動産所得が利益に該当します。

不動産投資ではNOIという指標が出てきますが、NOIは会計上の利益ではありません。
NOIには、費用の中に減価償却費が含まれていないため、NOIから減価償却費を除いたものが利益に該当します。

NOIと減価償却費、利益の関係を式で表すと、以下の通りです。

利益 = NOI-減価償却費

減価償却費とは、建物の取得原価を建物の法定耐用年数に渡り計画的・規則的に費用配分する会計の手続き上で発生する費用となります。

例えば、100万円の資産を10年間に渡って減価償却する場合、毎年、10万円ずつ費用として計上するのが減価償却費です。

減価償却費は、会計上、概念的に発生している費用であるため、毎年、実際に支出されているわけではありません。

上記の100万円の資産の例では、100万円という支出を行ったのは、あくまでも初年度だけであり、毎年の10万円の減価償却費というのは実際に支出されていない費用です。

ただし、減価償却費は費用として計算されるため、その分、収入から控除される費用が大きくなり、結果として利益が小さくなります。

利益が小さくなるということは、税金が少なくなることを意味します。

減価償却費は、その年に支出されないにも関わらず、利益を小さくしてくれるため、節税効果があります。
一方で、マンション経営では借入金の返済も毎月発生します。借入金の返済は費用ではありません。

費用というのは、会計上、税金を少なくしてくれる効果がありますが、借入金の返済は費用ではないため、いくら返済したとしても節税効果はないということです

借入金は、借りたときは収入として扱われません。仮に収入として扱われていたとしたら、お金を借りたとき、大きな税金が発生しているはずです。

それと同じ考えで、借入金は、返したときは費用として扱われません。仮に費用として扱われていたとしたら、お金を返したとき、節税できることになります。

お金を借りたときに課税されなかった以上、返しても節税はできないのです。節税できないということは、費用ではないということになります。

マンション経営では、お金の支出がないのに費用となる「減価償却費」と、お金の支出があるのに費用にならない「借入金返済」の2つがあるということをまずはご理解ください。

ここで、キャッシュフローを考えます。
仮に、借入金の返済がない場合、キャッシュフローはNOIから税金を引いたものとなります。

借入金の返済がない場合のキャッシュフロー

キャッシュフロー = NOI-税金

つまり、自己資金100%で不動産投資をした場合のキャッシュフローは上の式で表現される金額です。

次に、借入金の返済があると、キャッシュフローはさらに以下のようになります。

借入金の返済がある場合のキャッシュフロー

キャッシュフロー = NOI-税金-借入金返済

キャッシュフローは最終的に借入金返済も加味して決まるため、手取り収入は投資家がどの程度借入金をするかによっても変わります。

利益が小さく、借入金返済額があまりにも大きい場合には、黒字でもキャッシュフローがマイナスとなってしまうこともあるということです。

利益とキャッシュフローの違いを式で表すと、以下の通りになります。

利益 = NOI-減価償却費
キャッシュフロー = NOI-税金-借入金返済

マンション経営の手取り収入がいくらになるかについては、最終的にキャッシュフローに注目する必要があるのです。

1-2. マンション経営は事業?収入は変わる?

マンション経営では、消費税の課税事業者となるケースは基本的にありません。
理由としては、主たる収入である住宅の家賃が消費税のかからない非課税取引だからです。

非課税取引とは、消費税が発生しない取引を指します。それに対して、課税取引とは消費税が発生する取引です。

不動産の家賃は、原則として消費税が生じますが、例外的に「住宅」の家賃は消費税が発生しないことになっています。

住宅の家賃は消費税の発生しない非課税取引ですが、事務所や店舗等の住宅以外の家賃は、消費税の発生する課税取引ということです。

事業を行っている法人または個人事業主で、消費税を国へ納める義務のある人のことを「課税事業者」と呼びます。事業とは、あらゆる商売が含まれますが、不動産賃貸業も事業の1つです。

課税事業者は、顧客から預かった預り消費税と、課税事業者が支払った支払消費税との差額を国に納税します。

一方で、事業を行っている人の中でも、基準期間における課税売上が1,000万円以下の法人または個人は、消費税を国に納税する必要がありません

基準期間とは、法人なら原則前々事業年度、個人事業主なら前々年のことです。
消費税の納税義務のない事業者を「免税事業者」と呼びます。

マンション経営の場合、住宅の家賃は非課税取引です。
そのため、住宅の家賃が1,000万円を超えたとしても、それは課税売上ではないため、課税事業者にはなりません。

よって、マンション経営者は、多くの場合、消費税を納めることのない免税事業者となります。

ただし、マンションの1階を店舗に貸している場合等、その店舗等の賃料が1,000万円を超えていれば、マンション経営者も課税事業者となります。

また、駐車場の消費税については、若干、複雑なルールがあります。
駐車場について、入居者の車所有の有無に関わらず、1戸につき1台以上の駐車場が付属して、家賃に含めて徴収する場合には、消費税は非課税です。

1戸につき1台未満の駐車場の場合や、家賃とは別に駐車場代を徴収するような場合には課税取引となり、原則通り消費税が発生します。

2. 収入項目

この章では収入項目について解説していきます。

マンション経営で一番大きな収入は家賃収入です。

マンションやアパート等の住宅の場合、共益費を取ることはありません。
共益費とは、オフィスビルなどの不動産賃貸業で共用部の維持管理に充てる名目でテナントから徴収する収入です。

マンションでも物件によっては「管理費」といった名目で共益費のようなものを入居者から徴収することもあります。

管理費を取るか取らないかは自由ですが、管理費も実質的には収入です。

また、住宅の場合、同じ場所でも間取を小さくすると賃料単価が上がる傾向にあります。
3LDKよりもワンルームの方が賃料単価を高くすることができるため、ワンルームを多く作った方が全体の収入は大きくなります。

さらに、マンションの収入は空室も影響します。
空室は、エリアや築年数によっても異なりますが、健全なマンション経営においては、空室率は5%以内で留めることが一般的とされています。

空室率が5%というと、例えば20戸あるマンションで1戸が丸々1年間空室のままというイメージです。

3. NOIの費用項目

この章ではNOIの費用項目について解説します。
具体的な計算例として、以下の条件のマンションを想定します。

(条件)

場所:東京23区
敷地面積:330平米
戸数:45戸
家賃収入:450万円/月
延床面積:500坪
専有床面積:350坪
請負工事金額:5億円

3-1. 土地の固定資産税および都市計画税

土地には固定資産税および都市計画税が発生します。

固定資産税とは、その年の1月1日時点の不動産の所有者に対して市区町村(東京23区内は都)が課税する税金になります。

都市計画税とは、都市計画法における市街化区域内に不動産を持っている場合に課税される税金です。

市街化区域とは、すでに市街化を形成せている区域またはおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域のことを指します。

固定資産税および都市計画税は、以下のように計算されます。

固定資産税 = 課税標準額×1.4%
都市計画税 = 課税標準額×0.3%(原則)

マンションは住宅ですので、住宅が建っている土地には、「住宅用地の軽減措置」と呼ばれる固定資産税の軽減特例があります。

住宅用地は、面積によって「小規模住宅用地」と「一般住宅用地」の2つに分類されます。

小規模住宅用地 住宅用地で住宅1戸につき200平米までの部分
一般住宅用地 住宅用地で住宅1戸につき200平米を超え、家屋の床面積の10倍までの部分

小規模住宅用地または一般住宅用地では、固定資産税評価額に対して、以下の係数が乗じられて課税標準額が求められます。

区分 固定資産税係数 都市計画税
小規模住宅用地 1/6 2/3
一般住宅用地 1/3 1/3
(東京23区はさらに1/2)

以下のような土地の場合には、固定資産税および都市計画税は以下のようになります。

(条件)

場所:東京23区
固定資産税評価額:2億円
敷地面積:330平米
戸数:45戸

住宅用地の軽減措置は、「住宅1戸につき」面積が規定されているのが特徴です。

45戸の場合、9,000平米(=45戸×200平米)まで小規模住宅用地が適用されますので、330平米の敷地全体に小規模住宅用地の特例が適用されます。

よって、固定資産税および都市計画税は以下の通りです。

固定資産税 = 課税標準×税率
      = 固定資産税評価額×1/6×1.4%
      = 2億円×1/6×1.4%
      = 約47万円

都市計画税 = 課税標準×税率
      = 固定資産税評価額×1/3×1/2×0.3%
      = 約10万円

3-2. 建物の固定資産税および都市計画税

建物にも固定資産税および都市計画税が発生します。

固定資産税および都市計画税は、以下のように計算されます。

固定資産税 = 課税標準額×1.4%
都市計画税 = 課税標準額×0.3%(原則)

建物に関しては、特に軽減措置はありません。課税標準額は、固定資産税評価額となります。

固定資産税評価額は、新築物件の場合、請負工事金額の50~60%となることが一般的です。

マンションの建築費の相場は、鉄筋コンクリート造で坪100~120万円程度となります。

例えば、延床面積が500坪のマンションを坪100万円の工事単価で建てた場合を計算してみます。請負工事金額は5億円です。

固定資産税評価額を請負工事金額の50%とした場合、固定資産税表額は2.5億円(=5億円×50%)となります。

建物の固定資産税および都市計画税は以下の通りです。

固定資産税 = 課税標準×税率
      = 2.5億円×1.4%
      = 350万円

都市計画税 = 課税標準×税率
      = 2.5億円×0.3%
      = 75万円

3-3. 損害保険料

マンションを竣工すると、火災保険料等の損害保険に加入します。

損害保険料は、色々な概算値の出し方があります。
結論からすると、損害保険料はマンション経営の中で最も小さな費用ですので、どの算式を用いてもあまり大差はありません。

ここでは、以下の概算式を紹介します。

損害保険料の概算値 = 請負工事金額×0.05%

例えば請負工事金額が5億円のマンションを建てた場合、1年間当たりの概算値は以下の通りです。

損害保険料の概算値 = 請負工事金額×0.05%
          = 5億円×0.05%
          = 25万円

3-4. 管理委託料

管理方式によっては、管理委託料が発生します。
マンションの管理方式には、「管理委託」、「パススルー型サブリース」、「家賃保証型サブリース」の3種類です。

委託管理

管理委託とは、管理会社に管理を委託する管理方式となります。

管理委託料の相場は、家賃収入の5%程度です。
都市部の立地の良い場所で、戸数が多いマンションであれば3%というのもあり得ます。

パススルー型サブリース

パススルー型サブリースとは、一棟全体を管理会社に賃貸し、各部屋は管理会社と入居者が転貸する形式の管理方式です。

建物オーナーに入ってくる賃料は、入居している部屋の賃料から、約5%を差し引いた賃料が建物オーナーに振り込まれます。

パススルー型サブリースの収益性は、基本的には管理委託と同じです。

家賃保証型サブリース

家賃保証型サブリースも転貸ですが、各戸の入居状況に関わらず、賃料は固定される管理方式になります。

建物オーナーに入ってくる賃料は、満室想定賃料から15%程度差し引いた賃料が建物オーナーに振り込まれます。

パススルー型サブリースまたは家賃保証型サブリースを選択した場合には、管理料が差し引かれた形の賃料が入金されるため、費用項目としての管理委託費は生じません。

ここでは、管理委託を選択した場合に、管理委託料を計算してみたと思います。

45戸のマンションで、月額の家賃収入が450万円、管理料が5%となるような物件の場合、管理委託料は以下の通りです。

管理委託料 = 年間賃料収入×管理料率
      = 450万円×12ヶ月×5%
      = 270万円

上記の例は、1年間満室が続いた場合の計算例になります。
管理委託料は、あくまでも入居が入っている部屋にのみ生じるため、空室が増えれば減少する変動費です。

尚、マンションの場合、実際にはパススルー型サブリースがおススメです。
建物オーナーが締結する賃貸借契約書が管理会社との契約書1本だけで済み、1戸ずつ賃貸借契約を締結する管理委託方式と比べ、手間がかかりません。

パススルー型サブリースも入居している部屋の賃料から5%を差し引かれた賃料が入金されます。

3-5. 維持修繕費

マンション経営では、建物の維持修繕費も発生します。
修繕費とは、原則として金額が20万円未満の支出のものが該当します。

20万円以上の修繕を行った場合には、資産価値を増価させたものと見なされ、資産として減価償却されることになります。

例えば、10万円の給湯器を交換した場合などは、20万円未満の支出となるため、その期の費用です。

費用であれば、利益を圧縮することになるため、税金を小さくしてくれる節税効果が生じます。

一方で、20万円以上の修繕を行った場合には、全額は費用計上されません。
せっかくお金を払ったにも関わらず、その年の利益を支払った全額によって圧縮できないということです。

ただし、翌期以降、減価償却費という形で費用計上されますので、中長期的に見れば節税効果はあります。

修繕費については、発生する年もあれば、発生しない年もあります。新築当初は、ほとんど発生しません。
通常であれば築7~8年あたりから、ポロポロと発生します。

ただ、修繕費についても目安の算出方法があります。
修繕費も色々な算出方法がありますが、ここでは以下の算式を紹介します。

修繕費の概算値 = 請負工事金額×0.2%

例えば請負工事金額が5億円のマンションを建てた場合、1年間当たりの概算値は以下の通りです。

修繕費の概算値 = 請負工事金額×0.2%
        = 5億円×0.2%
        = 100万円

修繕費はあくまでも目安です。目安の額よりも小さい年もあれば、大きい年もあります。
参考程度に把握しておいてください。

3-6. 共用部水道光熱費

マンションではエレベーターや廊下の電気、植栽の散水等で、共用部分において水道光熱費が発生します。

水道光熱費も、概算値の算出式があります。共用部の水道光熱費は、一定の単価に専有部分の総面積を乗じて求めるのが一般的です。

単価の目安としては、坪あたり120円~150円が目安となります。

水道光熱費の概算値 = 専有面積(坪)×120円~150円×12ヶ月

例えば、専有面積が全体で350坪の賃貸マンションで、120円/坪の単価を採用した場合、年間の共用部の水道光熱費は以下のように計算されます。

水道光熱費の概算値 = 専有面積(坪)×120円/坪×12ヶ月
          = 350坪×120円/坪×12ヶ月
          = 約50万円

3-7. 建物メンテナンス費用

マンションでは、消防設備点検やエレベーター点検、自動ドア保守点検等の設備点検費や清掃費等のメンテナンス費用が発生します。

また、管理人が駐在する場合、管理人の人件費も生じます。

これらの費用も、一応、概算値の求め方があります。建物メンテナンス費用の概算値も、一定の単価に専有部分の総面積を乗じて求めるのが一般的です。

単価の目安としては、低グレードで400円/坪、中グレードで600円/坪、高グレードで800円/坪程度となります。

管理人が駐在するケースでは、高グレードとなり、800円/坪が採用されるイメージです。

建物メンテナンス費用の概算値 = 専有面積(坪)×400円~800円×12ヶ月

例えば、専有面積が全体で350坪の賃貸マンションで、400円/坪の単価を採用した場合、年間の建物メンテナンス費用は以下のように計算されます。

建物メンテナンス費用の概算値
      = 専有面積(坪)×400円/坪×12ヶ月
      = 350坪×400円/坪×12ヶ月
      = 168万円

3-8. 入居者募集費用

マンション経営では、空室が発生した場合、新たな入居者を募集する必要があります。
入居者を募集する際は、不動産会社に仲介手数料を支払います。仲介手数料は1ヶ月分の家賃です。

入居者募集費用は、必ずしも毎年定額が発生するものではありません。退去が全くない年はゼロ円ですし、退去がたくさん出た年は多くの金額が発生します。

そのため、入居者募集費用は、一定の想定のもとに概算値を計算します。一定の想定をするに当たり、入居者の平均回転期間という考えを用います。

例えば、ワンルームでは4年に1度くらいで退去が発生すると仮定した場合、平均回転期間は4年ということです。
平均回転期間を4年とした場合、4年に一度はごっそり全部屋の入居者が入れ替わることになります。

1ヶ月分の家賃収入が450万円だとすると、4年で450万円の仲介手数料が生じるということです。

ただし、入退去はいつどのタイミングで生じるか分からないため、450万円を4年間で平均にならします。

すると、1年あたりの入居者募集費用の概算値は以下の通りです。

入居者募集費用の概算値 = 1ヶ月分の家賃÷平均回転期間

平均回転期間は、ワンルームなら4年、ファミリータイプなら6年あたりで想定するのが一般的です。

具体的に、1ヶ月分の家賃収入が450万円、平均回転期間が4年とすると、以下のように計算されます。

入居者募集費用の概算値 = 1ヶ月分の家賃÷平均回転期間
            = 450万円÷4年
            = 約113万円

3-9. NOI費用まとめ

以上、NOI費用をまとめると以下の通りです。

項目 算出式
土地の固定資産税 課税標準額 × 1.4%
土地の都市計画税 課税標準額 × 0.3%(原則)
建物の固定資産税 課税標準額 × 1.4%
建物の都市計画税 課税標準額 × 0.3%(原則)
損害保険料 請負工事金額 × 0.05%
管理委託料 年間賃料収入 × 管理料率
維持修繕費 請負工事金額 × 0.2%
共用部水道光熱費 専有面積(坪) × 120円~150円
建物メンテナンス費用 専有面積(坪) × 400円~800円
入居者募集費用 1ヶ月分の家賃 ÷ 平均回転期間

一般的に、不動産賃貸業の経費率は、15~30%程度です。

この章で紹介した計算例では、NOIの費用の合計は年間で1,208万円でした。
年間収入は5,400万円(=450万円×12ヶ月)ですので、経費率としては約22%となります。

NOIの経費率を15~30%とすると、逆にNOIの利益率は70~85%ということです。
このようにマンション経営の利益率は非常に高いということになります。

4. 手取り収入は最終的にいくらになる?

この章では、多くの方が気になる手取り収入について解説します。

4-1. 利益と手取り収入の違い

改めて、利益とキャッシュフロー(手取り収入)の違いを示すと以下のようになります。

上図のように、もし減価償却費と借入金返済額が同額であれば、税引後利益とキャッシュフロー(手取り収入)は同じになります。

税引後利益とキャッシュフロー(手取り収入)の違いを生む原因は、減価償却費と借入金返済額の金額が異なるからです。

ここで、減価償却費と借入金の返済額を同額とした単純なケースでの築年数とキャッシュフロー(手取り収入)の動きを紹介します。

減価償却費は定額法、借入金の返済は元金均等返済額で想定した場合、手取り収入の変動の様子は以下の通りです。

NOIは築年数が経過すると、空室が増え、修繕費も増えていくことから減少していく傾向にあります。

NOIが減少すれば利益も減りますので、それに応じて税金も減少します。
一方で、借入金の返済と減価償却が終わると、今度は減価償却費がなくなることにより利益が増えてしまいます

減価償却終了後は、利益が増えることで税金が増えます。
ただし、このケースでは借入金の返済も無くなりますので、キャッシュフローは向上することになります。

仮に減価償却の完了前に借入金の返済が終わっている場合には、減価償却が終了した段階で税金が増え、キャッシュフローは悪化する現象が生じます。

4-2. 忘れてはいけない税金

(1) 所得税および住民税

個人がマンション経営等の不動産賃貸業を行うことで生じる所得は、「不動産所得」です。
不動産所得が発生すると、所得税および住民税等が発生します。

不動産所得は、以下の式で表されます

不動産所得 = 総収入金額-必要経費

上記の必要経費は、前章で解説したNOIの費用項目の他に、減価償却費も含む数字です。

2016年(平成28年)4月1日以後に取得した事業用資産における建物附属設備(電気・給排水等)及び構築物(看板等)の償却方法は定額法となります。

定額法による減価償却費の求め方は以下の通りです。

定額法による減価償却費 = 取得価額×定額法の償却率

鉄筋コンクリート造のマンションは法定耐用年数が47年と定められています。
耐用年数が47年の定額法の償却率は0.022です。

減価償却の計算は、建物に対してのみ行います。
請負工事金額が5億円の鉄筋コンクリート造のマンションを建てた場合の減価償却費は以下の通りです。

定額法による減価償却費 = 取得価額×定額法の償却率
           = 5億円×0.022
           = 1,100万円

前章の例では、年間収入は5,400万円に対し、NOIの費用が1,208万円でした、
よって、不動産所得は簡易的に以下の式で表すことができます。

不動産所得※ = 総収入金額-必要経費
       = 総収入金額-NOIの費用-減価償却費
       = 5,400万円-1,208万円-1,100万円
       = 3,092万円

※ここでは話を単純化するため、青色申告特別控除等は考慮外とします。

ここで税金に関しては、給与所得などの他の所得と合算した上で、税率が決まります。

そのため、税金がいくらになるのかは、他の所得と合算しないと決まりません。
所得税の税率は、所得が大きくなるほど高くなる累進課税制度を用います。

累進課税の所得税率は、以下の通りです。

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超330万円以下 10% 97,500円
330万円超695万円以下 20% 427,500円
695万円超900万円以下 23% 636,000円
900万円超1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

ここで、仮に不動産所得以外の所得がゼロであった場合、上記の不動産所得3,092万円に対する所得税額は以下の通りです。

所得税額 = 3,092万円×40%-279.6万円
     = 957.2万円

住民税は、概算額として税率10%で計算します。

住民税(概算額) = 3,092万円×10%
        = 309.2万円

(2) 事業税

個人が10室以上の住宅の貸付を行った場合、事業税という税金がかかります。
事業税は、不動産所得から事業主控除額(290万円)を控除した額に標準税率5%を乗じて求めます。

不動産所得3,092万円の場合の事業税は以下の通りです。

事業税 = (不動産所得-事業主控除額)×税率
    = (3,092万円-290万円)×5%
    = 140.1万円

税金の概算値は以下のように計算されます。

税金の概算値 = 所得税+住民税+事業税
       = 957.2万円+309.2万円+140.1万円
       = 1,406.5万円

※上記の税額はあくまでも概算値です。復興特別所得税や青色申告控除、その他所得控除、他の所得等を考慮すると税額は異なりますので、ご留意ください。

4-3. 手取り収入計算例

最後にキャッシュフロー(手取り収入)について解説します。
借入金の返済がある場合のキャッシュフローは、以下の式で表されました。

借入金の返済がある場合のキャッシュフロー

キャッシュフロー = NOI-税金-借入金返済

例えば、5億円のうち、3.5億円を金利2%、35年ローンで借りたとします。
すると、年間返済額は約1,391.3万円となります。

ここまでご紹介してきた計算例で考えてみると、年間収入5,400万円(=450万円×12ヶ月)とNOIの費用1,208万円より算出されるNOIは4,192万円です。

さらに、税金の概算値1,406.5万円と借入金返済額1,391.3万円を顧慮すると、キャッシュフロー(手取り収入)は以下のようになります。

キャッシュフロー
    = NOI-税金-借入金返済
    = 4,192万円-1,406.5万円-1,391.3万円
    = 1,394.2万円

自己資金を増やし、借入金返済額を増やせば、キャッシュフロー(手取り収入)は改善されることになります。

まとめ

いかがでしたか。
マンション経営における収入の考え方や計算方法について解説してきました。

利回りには表面利回りとNOI利回りの2種類があります。

NOIの費用項目には、減価償却と借入金の返済額は含まれないことがポイントです。
NOIの経費率としては家賃収入に対して15~30%程度です。

マンション経営では、利益とキャッシュフロー(手取り収入)は異なります。
理由としては、支出がないのに費用となる「減価償却費」と、支出があるのに費用にならない「借入金返済」の2つがあるためです。

キャッシュフローは、NOIから税金と借入金返済額を控除したものとなります。
手取り収入を増やすのであれば、自己資金を増やすことも考慮するようにしてください。

本記事の掲載内容は、最終更新日時点での情報です。
制度や法律については、改正等で内容に変更がある場合もございます。

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