【相続税対策は不動産で!】理想を実現するための9つの方法

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遺産相続の際に課せられる相続税対策の王道といえば、不動産です。

不動産の活用による相続税対策は、節税効果は大きいですが、不動産だけでは理想的な相続税対策にはなりません。生前寄与など他の対策を併用することで、より効果的に節税することができます

つまり、理想の相続税対策とは、対象となる方の資産構成や家族構成に応じて、オーダーメイドで作り上げていくことになります。そしてそのためには、さまざまな対策や効果を知っておかないと、最適な組み合わせを実現することができません。

この記事では、不動産を中心に効果的な9つの相続税対策について解説します

対策方法 節税 分割 納税 認知症
①土地活用      
②借入金の併用    
③分割しやすい不動産の購入    
④不要な不動産の売却  
⑤生前贈与      
⑥遺言書      
⑦生命保険      
⑧任意後見制度      
⑨法人化

まず1章と2章で、不動産が相続税対策になる理由と注意しておきたいポイントについてご説明し、3章以降で9つの方法について詳しく見ていきます。

この記事を読めば、理想的な相続税対策を実現するために必要な知識を得られますので、ぜひ最後までご覧ください。

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1. 不動産が相続税対策になる3つの理由

不動産には相続税を下げてくれる優れた節税効果があります。
そこで最初に不動産が相続税対策のなる3つの理由について解説します。

1-1. 不動産の評価額は時価よりも低い

不動産が相続税対策となる理由は、不動産の相続税評価額が時価よりも低いからです。
現金の相続税評価額はその金額がそのまま相続税評価額ですので、現金を不動産に変更するだけでも相続税評価額を減らすことができます。

土地の相続税評価額は相続税路線価を元に計算されます。
相続税路線価とは、対象敷地の前の前面道路(路線)に振られている土地単価のことです。

相続税路線価は地価公示の80%程度を目安に価格が決定されています。
地価公示とは、毎年1月1日時点の土地価格を表すものであり、時価に近い価格です。

よって、土地の相続税評価額は時価の約80%ということになり、実際の資産価値よりも低い金額で財産を評価してもらえることになり、節税効果があります。

都市部では実際の時価が地価公示よりも1~2割程度高いため、実質的には20%以上の節税効果があるのが通常です。

また、建物相続税評価額は建物の固定資産税評価額をもとに計算されます。
建物の固定資産税評価額とは、建物の固定資産税納税通知書に記載されている評価額のことです。

建物の固定資産税評価額は、新築建物の場合、請負工事金額の50~60%程度で評価されます。

そのため、現金を使って新たに建物を建てることで、資産を50~60%程度に圧縮した形で評価されるため、節税効果があるのです。

1-2. 賃貸物件の評価額はさらに低い

不動産は、アパートや賃貸マンション、店舗等の収益物件に変えることでさらに評価額を下げることが可能です。

収益物件を建てると、土地については貸家建付地という評価になり、更地よりも評価額が下がります。

建物についても、借家権割合による評価減が適用されるため、自分で使う建物よりも評価額が下がります。

収益物件の土地と建物の評価額の計算方法は以下の通りです。

(土地)
貸家建付地 = 路線価評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

(建物)
貸家の建物評価額 = 建物固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)

借家権割合は全国一律で30%です。
借地権割合は30%~90%の範囲でエリアによって指定されています。

土地で貸家建付地が適用されると、元々の現金に対して約60~70%の評価額となります。
また、貸家の建物は30%減額されるため、元々の現金に対して約35~40%の評価額になります。

1-3. 小規模宅地等の特例が適用できる

不動産には「小規模宅地等の特例」というかなり大きな節税特例が存在します。

小規模宅地等の特例とは、相続の開始の直前において被相続人(他界した方)の事業の用または居住の用に供されていた宅地で、相続税の申告期限まで居住や事業を継続していたものがある場合には、限度面積までの部分について、80%または50%を減額するという制度です。

区分 減額割合 限度面積
特定居住用宅地等 80% 330㎡
特定事業用宅地等
特定同族会社事業用宅地等
80% 400㎡
貸付事業用宅地等 50% 200㎡

アパート等の敷地は貸付事業用地に該当するため、200平米までの土地であれば50%減額されます。

全敷地に小規模宅地等の特例が適用できる場合、元々の土地購入代金100%が約30~35%くらいまで下がることになります。

また、収益物件でなくても特定居住用住宅地等に該当する自宅の土地であれば、330平米まで80%の減額が可能です。

土地活用や小規模宅地等の特例等を駆使すると、元々あった現金を最小で3~4割程度の評価額となる資産に置き換えることができます。

しかも、土地活用をすれば家賃収入も得られます。
相続税評価額を大きく圧縮でき、なおかつ、賃料収入も入ってくるわけですから、やはり土地活用は相続税対策として理にかなっているわけです。

2. 不動産による相続税対策の弱点

不動産は大きな節税効果だけが注目されてしまいますが、不動産による相続税対策にも弱点があります。
そこでこの章では不動産による相続税対策の弱点について解説します。

2-1. 分割しにくくなる

不動産の最大の弱点は、相続人同士で資産が分割しにくくなるという点です。
相続人が1人であれば、分割の問題は生じませんが、一般的には相続人は複数人いることが多いため、分割は大きな問題となります。

例えば相続財産が全部で1億円あり、2,000万円が現金、8,000万円が1棟の賃貸マンションみたいなケースを考えます。

ここで、相続人が兄弟2人の場合、兄に8,000万円のマンション、弟に2,000万円の現金を分けるような場合、兄弟間で大きな不平等が生じます。

現金であれば1円単位で分けることができるため平等に分割しやすいですが、不動産は平等に分割しにくい資産です。

また不動産が2物件あったとしても、A物件が2,000万円、B物件が6,000万円だとしたら、やはり兄にA物件、弟にB物件という分け方も不平等になります。

相続では相続人同士が遺産分割で揉めることで「争族」となることがあります。
争族のほとんどの原因は、分割しにくい不動産が存在するためです。

不動産を使った相続税対策では、弱点である分割対策についてもしっかり考える必要があります。

2-2. 納税資金が減る

現金を不動産に変えることは大きな節税対策になりますが、土地活用や不動産の購入によって被相続人の現金を減らしてしまうことは別の問題を引き起こします。
別の問題とは、納税資金が減るという問題です。

相続税は現金納付が原則であるため、相続税対策としては納税用の現金も用意しておく対策が必要です。

仮に被相続人(他界する方)の資産が全て不動産だった場合、相続人(残された方)は不動産だけを受け取ることになります。

相続人が不動産しか受け取れない場合、財産を守るためには相続人が自腹の貯金で相続税を払うことになります。

相続人に十分な貯金が無ければ、引き継いだ不動産を納税期限まで売却しなければなりません。

先祖代々の資産を守ろうとしても、納税資金が無ければせっかく節税対策をしたとしても資産を手放すことになります。

一方で、仮に被相続人の資産が全て現金だった場合、相続人は引き継いだ現金を使って納税をすることが可能です。

相続人の自腹の貯金を痛めることもないため、相続人が感じる納税の負担感がかなり軽くなります。

現金には不動産よりも「相続税評価額が高い」というデメリットがありますが、「分割しやすい」、「納税しやすい」といったメリットもあります。

そのため、納税を考慮すれば、不動産の比重を大きくし過ぎることは適切ではなく、ある程度の現金は残しておく必要があるのです。

理想の相続税対策を行うには、不動産による節税対策の他、分割対策や納税対策も考慮していくポイントとなります。
それでは次章以降で、9つの対策方法について詳しく見ていきます。

3. 対策方法① 土地活用による相続税対策(節税)

効果

土地活用による相続税対策には節税効果があります。

元々土地を持っている場合、その土地の上に収益物件を建てるとその土地が貸家建付地評価減の適用を受けます。

また、土地活用を行えば家賃収入を得られますので、収入を増やすこともできるという点もメリットです。

方法

土地活用による相続税対策の実行方法は、その土地に見合った最適な土地活用を見つけることから始めます。

最適な土地活用を見つけるには、HOME4U(ホームフォーユー)土地活用」の利用がおススメです。

HOME4U土地活用

HOME4Uでは、国内の大手ハウスメーカーを中心に最大7社から無料で土地活用提案を受けることができます。

どのような土地活用ができるのかを知るには、「建築に関する専門知識」と「賃貸需要の把握」の2つが必要です。

建築について、一級建築士などの専門家による知識が必要であるため、一般の方が容易に建物を想定できるものではありません。

また、どのような賃貸需要があるかは、普段から賃貸仲介などに携わっている管理会社等でない限り、分からないです。
ベストな土地活用を知るには、専門家の協力が要となってきます。

大手ハウスメーカーであれば、社内に一級建築士がおり「建築に関する専門知識」を有しています。
また、関連会社に管理会社を有しており、「賃貸需要の把握」も適切です。

大手ハウスメーカーは、土地活用を知る上で「建築に関する専門知識」と「賃貸需要の把握」の2つを備えた企業であり、大手ハウスメーカーに聞くと自分でも気づかなかった土地活用を発見できるようになります。

尚、土地活用は必ずしもアパートだけでなく、老人ホームやコンビニなどの事業系の土地活用でも相続対策となります。

大手のハウスメーカーは、テナント部隊がいますので、事業系の土地活用の提案もしてもらえます。

土地活用は提案してくれる会社が多いほど、最適な土地活用が見つけやすくなります。
HOME4U 土地活用」なら最大7社から無料で土地活用提案を受けることが可能ですので、土地活用を検討する際はぜひご利用ください。

注意すべきポイント

土地活用は、空室リスクを十分検討した上で行うことが注意点です。
空室が増えてしまうと、賃料収入が減るばかりではなく、借入金の返済も滞り、最悪の場合には自己破産といった問題も生じます。

土地活用は、賃貸需要が見込まれる立地で行うべきものであり、全ての土地で行えるものではありません。

賃貸需要が全く見込めない土地で、無理して土地活用を行うことは、いたずらに資産を失うことになり、逆効果です。

土地活用を検討する際は、色々な会社の意見を聞き、長期に渡って賃貸経営が可能かどうかを見極めたうえで慎重に実行するようにしてください。

4. 対策方法② 借入金の併用による相続税対策(節税・納税)

効果

相続税対策では借入金を積極的に利用することで、節税と納税、分割の効果が生まれます。

5,000万円の借入金を利用すれば、借入金は課税対象にならないため、相続財産を5,000万円減額することができます。

そして手元に5,000万円の現金が残ることになりますので、相続人はその現金を納税資金に充てることもできるのです。

また、現金は分割しやすい性質があることから、現金を残すことは分割対策にも役立ちます。

よって、借入金には節税だけでなく、現金を残せることで納税や分割の効果も生むのです。

方法

借入金は、土地活用や収益物件の購入などで利用するのが適しています。
収益物件の家賃収入によって無理なく返済できるのであれば、悪影響を与えることはありません。

借入金を増やすことに対しネガティブな印象を持つ方もいますが、相続対策ではある程度の「現金を残す」ことも必要であることから、借入金には戦略的に利用すべき意味合いがあるのです。

注意すべきポイント

借入金を利用する際は、借り過ぎないことが注意点となります。
借入金には相続税対策効果はあるものの、やはり借り過ぎて返済困難となるようでは逆効果です。

あくまでも余裕を持った返済計画を立て、いたずらに手持ち現金を減らさないために借入金を利用するようにしてください。

5. 対策方法③ 分割しやすい不動産の購入による相続税対策(節税・分割)

効果

分割しやすい不動産を購入すると節税と分割の効果が生じます。

例えば、複数戸の区分所有ワンルームマンションに投資を行うと、節税効果もあり、分割もしやすいです。
区分ワンルームマンションも収益物件ですので節税効果があります。

例えば区分ワンルームマンションを3戸購入すれば、3人の相続人に対して将来1戸ずつ分け与えることができます。

方法

節税効果があり、なおかつ、分割しやすい不動産としては以下のようなものがあります。

  • 区分所有のワンルームマンション
  • 区分所有形態となっているオフィスビル1室
  • 不動産小口化商品(任意組合型による共有持ち分権の場合)

上記のような収益物件は小額から不動産投資を始められることで人気ですが、少額であるがゆえに複数戸を購入することもできます。

相続税対策を意識して不動産投資をするのであれば、マンション1棟のような大きな資産をドンと購入するよりも、小さな物件をたくさん買う方が「分けにくい」という不動産のデメリットを補えるのです。

注意すべきポイント

注意点としては、不動産投資ですので立地が良く空室リスクの低い物件に投資するという点です。

不動産投資では借入金を併用することも相続税対策として効果的ですが、やはり途中で返済できなくなるような物件に投資すべきではありません。
物件選びには十分な時間をかけ、良い物件に投資するようにしてください。

6. 対策方法④ 不要な不動産の売却による相続税対策(節税・納税・分割)

効果

不動産は時価よりも相続税評価額が低いため節税効果がありますが、一部の不動産の中には時価よりも相続税評価額の方が高くなってしまう不動産もあります。

このように相続税評価額の方が時価よりも高い不動産は、持っているだけ損ですので売却して現金化すべきです。

相続税評価額が時価よりも高い不動産は、売却すると本来の低い時価に戻りますので節税効果が生まれます。
また現金化されることで納税資金にもなり、分割しやすい資産へも変わります。

方法

相続税評価額が時価よりも高い不動産には、以下のようなものがあります。

  • 底地
  • 築年数の古い借地権付き建物
  • 利用価値の低い土地(例えば蛇のような形をした土地、極めて小さい土地等)

イメージとすると、売却しても二束三文にしかならない不動産が該当します。

「どうせ売っても大した金額にならない」と思って売却しない方もいますが、大した金額ではないにも関わらず、それなりの相続税評価額となってしまうため、過剰な相続税を払う原因となっています。

持つだけ損する不動産も存在しますので、相続税評価額が時価よりも高い不動産は生前中に売却するようにしてください。

注意すべきポイント

相続税評価額が時価よりも高い不動産は、市場価値がいため、売却までに時間がかかります。
売却は長期戦で臨む必要があり、相続の直前に慌てて売却しようとしても間に合わない可能性があるという点が注意点です。

該当する不動産があれば、今すぐ売却活動を始めて構いません。
売却まで1年以上かかることもあり得ますので、売却は早めに始めるようにしてください。

7. 対策方法⑤ 生前贈与による相続税対策(納税)

効果

生前に親が持っている賃貸物件の建物を子供に贈与すると、納税対策が可能です。

賃貸物件の建物が子供のものになると、子供が家賃収入を得ることができます。
子供には家賃収入によって早い段階から納税資金が貯まるため、納税対策の効果があるのです。

方法

賃貸物件の建物の生前贈与は相続時精算課税制度を利用します。
相続時精算課税制度は、一定の者からその者の推定相続人(孫を含む)に財産を贈与した場合に、基礎控除額が2,500万円まで設けられている贈与制度です。

相続税評価額が2,500万円以下であれば、贈与時の贈与税は非課税となります。
ただし、相続時精算課税で贈与した財産は、相続時にその贈与財産を相続財産に加算して相続税が計算されます。

完全に相続財産から外れるのではなく、相続の際、贈与時の評価額で精算しますので、相続時精算課税と呼ばれます。

アパート程度の規模の物件であれば、相続税評価額が2,500万円以下となっていることが多いです。
そのため、非課税枠内で建物を贈与してしまい、相続人に早めに納税資金を蓄えさせることができます。

注意すべきポイント

相続時精算課税は、一度選択してしまうと途中で暦年贈与が使えなくなるという点が注意点です。

暦年贈与とは、年間110万円以下は贈与税を非課税とすることができる制度です。
暦年贈与は金額こそ少ないですが、使い勝手は良いので利用できなくなることはデメリットといえます。

また、相続時精算課税制度は税金の支払いを相続時に先送りしているだけなので、節税効果はありません。
利用する際は、デメリットを十分に認識した上で慎重に判断するようにしてください。

8. 対策方法⑥ 遺言書を使った相続税対策(分割)

効果

遺言書を使うと、被相続人が生前中に遺産分割の方法を決めることができますので、遺産分割で揉めなくなるという効果があります。
遺言は分割対策として非常に有効です。

遺言とは、被相続人の意思で遺産の分け方を決める方法になります。
それに対して遺産分割協議とは、相続人の意思で遺産の分け方を決める方法です。

遺産分割協議は相続人の全員の同意がない限り、有効に成立しません。
誰か1人でも反対者がいれば、まとまらなくなるため争族に発展しやすくなります。
遺言書があれば、原則として遺言が優先されますので、遺言の効果は強力なのです。

ただし、遺言書も遺産分割協議によって覆すことができます。

遺言書は無駄にはなりませんし、相続人全員が合意すれば後から遺産分割協議によって変更もできますので、残しておいた方が良いのです。

方法

遺言の作成で一番良いやり方は、遺言の内容を被相続人の生前中に全員で話し合って決めておくという方法です。

遺言は、被相続人がこっそり1人で作成するイメージがありますが、実際には家族で内容を話し合って遺言書にまとめる方も多いです。
遺産分割協議の「生前版」だと考えてもらって構いません。

被相続人が生前中に全員で話し合っておけば納得感がありますし、被相続人がリーダーシップを取ることで話もまとまりやすくなります。
分割案は生前に全員で作成し、遺言書に書き残すようにしてください。

注意すべきポイント

遺言書は、要件が整っていないと無効となりますので、公正証書遺言で残すことが注意点となります。

遺言書は、自分で作成するいわゆる自筆遺言も可能です。
自筆遺言の場合、他界後に家庭裁判所に検認(有効な遺言書であるかのチェック)を受けることになります。

検認で否認されてしまうと、せっかくの遺言書も無効となってしまうので無駄になってしまいます。

公正証書で作成する公正証書遺言であれば、作成時に証人がいるため無効となるようなことは基本的にありません。

せっかく家族で話し合って作るのであれば、その想いを無駄にしないためにも遺言書は必ず公正証書遺言で残すようにしてください。

9. 対策方法⑦ 生命保険による相続税対策(納税)

効果

生命保険には大きな非課税枠がありますので、生命保険を利用することで相続人に現金を残すことが可能です。
現金は納税に使えますので、生命保険は納税対策になります。

被保険者の相続人が受け取る死亡保険金の非課税限度額は以下の通りです。

非課税限度額 = 500万円×法定相続人の数

例えば、法定相続人が3人の場合には、1,500万円(=500万円×3人)までが非課税限度額です。

よって、死亡保険金の設定額を1,500万円に設定しておけば、その保険金については相続税が課税されることなく相続人の手元に残るという効果があります。
死亡保険金の非課税限度額は比較的大きな金額ですので、納税対策として効果的です。

方法

生命保険を使った相続税対策は、保険料負担者と被保険者を被相続人とし、受取人を相続人とすることがポイントです。

保険料負担者
(契約者)
被保険者 死亡保険金
受取人
税金の種類
被相続人 被相続人 相続人 相続税
(非課税額有り)
相続人 被相続人 相続人 所得税

保険料負担者と被保険者が被相続人であると、受け取る死亡保険金は相続税の対象となります。

相続税の対象となる死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税限度額がありますので、多くの現金を残すことができるのです。

一方で、保険料負担者が相続人、被保険者が被相続人となると相続人が受け取る死亡保険金は所得税の対象となってしまいます。

注意すべきポイント

生命保険による相続税対策は、受取人を誰にするかが注意点となります。
受取人は、基本的に「不動産を多く承継し、納税がきつくなる相続人」を選ぶのが基本です。

配偶者の場合、配偶者の税額の軽減(通称:配偶者控除)がありますので、納税負担が非常に軽くなっています。
そのため、受取人を安易に配偶者にしてしまうのは得策ではありません。

まずは遺言により分割案を決め、その結果、最も納税負担が厳しくなりそうな相続人を受取人とするようにしてください。

10. 対策方法⑧ 任意後見制度を使った相続税対策(認知症)

効果

任意後見制度とは、親の判断能力が十分なうちに、将来、精神上の障がいにより事理を弁識する能力が不十分な状況における自己の生活、療養介護および財産の管理について、あらかじめ定めた代理人に委託することができる制度です。

任意後見制度を使った相続税対策は、被相続人の生前中における認知症対策として有効です。

賃貸経営開始後、親が認知症となってしまった場合、後見人や代理人でない限り財産の管理をできなくなってしまいます。

認知症の場合、本人の意思が明確ではないため、認知症になった後では有効な代理人を立てることができません。

そのため、何も準備をしていなければ、裁判所が成年後見人を指定し、成年後見人が代理人として財産を管理することになります。

しかしながら、成年後見人は弁護士や司法書士が指定されることが多く、親族が選任されることは基本的にありません

成年後見人は最低限の財産管理しかしませんので、賃貸物件でリフォームや修繕等の対応ができず、賃貸物件の価値を損なってしまうリスクが生じます。

賃貸物件の価値を維持するには、柔軟に対応できる親族が後見人となることの方が望ましいです。
そこで、親族を後見人とするために利用できるのが任意後見制度となります。

任意後見制度によって親族が賃貸物件の維持管理をできるようにしておけば、親が認知症になった後でも子供が修繕等の賃貸物件の価値を維持するような財産管理を行うことが可能です。

方法

任意後見制度で定めた代理人のことを任意後見人と呼びます。

任意後見人は、成年後見人等とは異なり、家族でもなることが可能です。
親と任意後見人との間で、公証人の作成する公正証書で任意後見契約を締結することで任意後見人を指定しておくことができます。

親の事理を弁識する能力が不十分な状況となると、親族や任意後見人などの請求によって家庭裁判所が「任意後見監督人」という人を選任します。

任意後見人は任意後見監督人の監督の元、親を代理して不動産の売却等の法律行為をすることが可能となります。

注意すべきポイント

任意後見契約は、親が認知症になった後では有効な契約ができないという点が注意点です。

つまり、任意後見制度では、親の判断能力が十分なうちに、あらかじめ任意後見契約を締結しておかなければならないということになります。

親の判断能力が十分なうちに家族で認知症対策の話題を切り出すのは、実際にはなかなか難しいことです。
子供からは言い出しにくいことですので、親から切り出して任意後見契約の準備をすることをおススメします。

11. 対策方法⑨ 法人化による相続税対策(節税・納税・分割・認知症)

効果

最後に法人化による相続税対策について紹介します。
法人を使った相続税対策には、節税、納税、分割、認知症等、ほぼ全ての対策効果があります。

方法

法人を使った相続税対策は、新たに法人を設立して土地オーナーがその会社に出資し、その会社が賃貸物件を建てる方法が一般的です。

土地オーナーは法人の株主となりますので、相続対象は建物から株式に変わります。
法人を設立してから3年を経過すると、株式の評価額は相続税評価額から負債を引いた純資産の価格となります。

資産の評価額が個人と同じ相続税評価額となることから、相続対象となる株式の評価額もかなり小さくなり、節税対策となるのです。

また、相続対象は株式ですので、簡単に分けることが可能です。
全体が90株で相続人が3人の場合でも、30株ずつ分けることもできますので、分割が容易となります。
つまり、相続対象を株式に変えることで分割対策にもなっています。

次に、法人とした場合には、親族を法人の役員にすることができますので、役員報酬として生前に子供たちへダイレクトに資金を移転することが可能です。

子供たちは、納税用の資金を早く貯めることができますので、納税対策にもなります。
しかも役員報酬ですので暦年贈与(110万円)のような金額の制限もないため、大きな金額を相続人に早期移転することが可能です。

さらに、法人なら親が認知症になった場合でも、役員である子供たちが建物維持管理のために自由にリフォームや修繕をすることができます。

法人化した物件に限っては、任意後見契約を締結しなくても自然と認知症対策ができているということになります。

注意すべきポイント

法人を使った対策は、ある程度の規模の物件に対して利用するという点が注意点です。

法人を使うと、法人には法人税が発生し、個人の役員報酬には所得税が発生します。
運用中は、法人にも個人にもダブルで課税されるという点がデメリットです。

そのため、法人はある程度の規模が無いとメリットが出てきません。
区分所有マンションや不動産小口化商品等の資産規模が小さい投資には適さない手法です。

賃貸マンションや、ホテルやオフィス等の事業系の土地活用、複数のアパートを持つ場合等、ある程度資産規模が大きくなるケースでは積極的に検討することをおススメします。

まとめ

いかがでしたか。
不動産の相続税対策について解説してきました。

不動産は実際の価値よりも相続税評価額を低くしてくれる効果があるため、節税効果があります。
ただし、分割のしにくさや、分けにくさといった弱点もあります。

不動産のデメリットを補いながら、強みの節税効果を生かすには、他の手法と併せながら対策していくことが重要です。

デメリットを補填する方法としては、遺言書や生命保険、任意後見制度、法人化等の様々な手法がありますので、自分たちに必要な対策を加えながら理想の相続税対策を目指してください。

本記事の掲載内容は、最終更新日時点での情報です。
制度や法律については、改正等で内容に変更がある場合もございます。

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