等価交換とは?土地所有者が損をしないための全知識を解説!

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土地活用の手法の一つに「等価交換事業」があります。

等価交換事業とは、土地所有者が土地を出資し、開発事業者(ディベロッパー)がその土地の上に建てる建物の建築費を出資し、完成した土地と建物を出資比率に応じて所有する形態の事業です。

等価交換事業は、建物を建築する主体がプロのディベロッパーであることが多いため、安心して事業を任せることができるというメリットがあります。

一方で、建物完成後、建物の床をどれだけ所有できるかは専門的な知識を必要とするため、任せきりにしてしまうと土地所有者が損をしてしまうこともあります。

ディベロッパーに対し、正当な主張をして、多くの賃貸可能な床面積を確保するには土地所有者にも最低限の理論武装が必要です。

等価交換事業によって、土地所有者が得る建物の賃貸可能な床面積のことを「還元床」と呼んでいます。

建物の所有比率は還元床の面積を決めることで決定されます

そこで、この記事では土地所有者向けに等価交換事業について解説します。

等価交換とは何かという基礎的な内容から、土地所有者にとって重要となる還元床の計算方法に至るまで、一通りの知識をご紹介します。

この記事を読むことで、等価交換事業の全容が分かるようになります。ぜひ最後までご覧ください。

1. 等価交換とは

等価交換とは、土地所有者が土地を提供し、ディベロッパーがその土地の上に建物を建て、建物完成後に両者で土地と建物を交換しあい、最終的に土地所有者とディベロッパーの共同所有で建物を所有する形態の事業です。

土地所有者は、形式的に土地の一部を売却して、これと等価の建物の一部を取得することになります。

つまり、土地と建物を等価(同じ価格)で交換することになるため、「等価交換」と呼ばれています。

等価交換事業は、立地の良い場所に大きな土地を有している人が行うことがほとんどです。

建物そのものには用途制限はありませんが、オフィスビルやマンションなどの大型建物を建築できるような土地で活用されています。

ほとんどの等価交換事業は、資本力のある大手ディベロッパーからの提案を受け、話が進みます。

等価交換事業では、土地所有者は一部土地を手放すことになりますが、何もせずに土地と建物を手に入れることができます。

一方で、ディベロッパーは立地の良い場所の土地の地権者になることができます。

ディベロッパーは、等価交換事業でオフィスビルを建築する場合は、オフィスビルを賃貸し、分譲マンションを建築する場合は、分譲マンションを売却して利益を得ます。

オフィスビルの場合、竣工後は、土地と建物を元々の土地所有者とディベロッパーで共同所有することになります。

共有とするか、区分所有とするかは、協議によって自由に決めることが可能です。オフィスビルの場合は、土地も建物もディベロッパーと共有することも良くあります。

一方で、マンションの場合、竣工後はディベロッパーの所有部分は分譲マンションとして売却し、土地所有者の所有部分は賃貸マンションとして賃貸するケースが多いです。

マンションの場合は、分譲や賃貸で利用を明確に分けるため、竣工後は部屋ごとの区分所有で所有するケースがほとんどになります。

いずれにしても、等価交換はディベロッパーとの共同事業となります。

2. 税務上の交換との違い

等価交換では「交換」という言葉が使われます。等価交換で使われる交換は、一般用語であり、税法上で使う交換とは異なります

税法上の交換は、「土地と土地」、「建物と建物」といった同種の不動産を交換することを交換と呼んでいます。

税法上は、土地と土地等の同種の建物の交換に関しては、「固定資産の交換の特例」という特例が使えます。

それに対し、等価交換事業の交換は、土地と建物という異種の不動産を等価で交換します。

そのため、税法上の「交換の特例」は使えません。等価交換で使う特例は「買換えの特例」になります。

交換と買換えの違いは、取引で現金の授受があるかどうかです。交換は、物々交換を前提としており、買換えは金銭の授受が介在します。

等価交換事業では、土地を売却して、売却収入で建物を取得するという解釈がなされます。そのため、等価交換は税法上では不動産の買換えに該当します。

交換の特例も買換えの特例も、同じ「課税の繰り延べ」を行うための特例です。

買換えでは、一瞬、売却のアクションが生じます。

課税の繰り延べとは、買換えの際、売却のアクションで税金をかけることはせず、その物件が、将来、本当に第三者に普通に売却するときに課税を行うというタイミングの先送りのことを指します。

たまに、等価交換事業では、同種の不動産の交換ではないため、課税の繰り延べができないのではないかという質問をされる方がいます。

等価交換は「交換」という言葉が使われるため、このような誤解をする人がとても多いです。

確かに等価交換は土地と建物の異種の不動産を交換するため、「交換の特例」を使うことはできませんが、「買換えの特例」を使うということを理解しておきましょう。

3. 等価交換事業の仕組み

等価交換は、最終的に土地と建物をディベロッパーと共同所有します。

共同所有するまでのプロセスには、全部譲渡方式」と「部分譲渡方式」の2つの方式があります。

3-1. 全部譲渡方式

全部譲渡方式とは、土地所有者が等価交換事業で使う土地を、一旦全てディベロッパーへ売却します。

その後、建物完成後に売却した土地価格に見合う部分の「土地と建物」を後から購入します。

一旦、全て土地を譲渡することから、全部譲渡方式と呼ばれています。

全部譲渡方式は、土地の権利者が複数名、存在するようなケースで採用されることがあります。

土地の所有者が複数名存在すると、建物の竣工までに途中で誰かが相続となったり、破産したことで第三者へ売却されたり等の事象が発生する可能性があります。

このような事象が発生すると、事業の遂行に支障をきたします。

事業の遂行に支障が生じ懸念がある場合には、全部譲渡方式が採用されることがあります。

但し、全部譲渡方式は、土地所有者が一度全部土地を譲渡し、その後、土地と建物を買い戻します。

その際、土地に関しては、再購入のときに不動産取得税および登録免許財が発生してしまう等のデメリットがあります。

土地所有者が単独で、かつ与信の高い人であれば、全部譲渡方式はあまり採用されません。

3-2. 部分譲渡方式

部分譲渡方式とは、土地所有者がディベロッパーから取得する建物代金に相当する一部の土地だけを売却する方法です。

最終的に土地所有者とディベロッパーで建物を4:6の割合で持つとしたら、60%の土地をディベロッパーに売却します。

土地の一部だけを売却することから、部分譲渡方式と呼ばれています。

通常、等価交換事業はこの部分譲渡方式が採用されることの方が多いです。

部分譲渡方式であれば、土地を再購入して不動産取得税等が課税されることがないため、土地所有者にメリットがあります。

等価交換事業は、ディベロッパーからの提案がほとんどであるため、全部譲渡方式のように土地所有者に余計な負担がかかるような方式は使われないのが通常です。

また、等価交換事業の土地所有者は、大地主で他に資産を持っている方も多く、与信も高く、途中で自己破産するような危険性低いことから、部分譲渡方式が採用される理由にもなっています。

但し、部分譲渡方式では、一部売却のときまでに、竣工後の建物の所有比率をしっかり決めておく必要があります。

土地活用プラス コラム  建設協力金方式との違い

土地所有者が何もせずに建物を建てて土地活用する手法として、建設協力金方式というものがあります。

建設協力金方式は、コンビニやロードサイド店舗等の商業系の建物で採用されることが多いです。

建設協力金方式もテナントに任せっきりで事業ができるため、雰囲気は等価交換事業と似ています。

建設協力金方式は、テナントが一度土地所有者に建物代金を貸し出し、土地所有者が建物発注者となり建物を建築する方式です。

竣工後は、テナントの賃料からテナントに対して建物代金を返済していきます。

建設協力金方式は、土地と建物の全てが元々土地所有者の完全所有となりますが、等価交換事業では、土地と建物の所有形態が、土地所有者とディベロッパーの共同所有になるという点が異なります。

ざっくり言うと、建設協力金方式は、テナントからお金を借りて、完全所有の建物をテナントに建ててもらう事業です。

それに対して、等価交換方式は、土地の一部をディベロッパーに売って、ディベロッパーと共同所有の建物を得る事業になります。

両者の雰囲気は似ていますが、最終的な所有形態は異なります。

4. 等価交換事業のメリット

等価交換事業のメリットとしては、主に以下の2点があります。

  1. 借入金が発生しない
  2. ディベロッパーに全て委ねることができる

4-1. 借入金が発生しない

等価交換事業では、土地を一部売却して建物を購入していることになります。

そのため、借入をせずに建物を購入して事業を始めることができるというメリットがあります。

ここ数年は、金利も低くインフレ基調であるため、借入のリスクはかなり低減されています。

しかしながら、バブル崩壊後の金利が高くデフレ基調の時期には、借入せずに事業ができる等価交換はかなり重宝される時代がありました。

デフレとなると、時間とともに物の価値が下がり、お金の価値が上がります。

借金はお金ですので、デフレ環境では借金をすると時間とともに借金の重みが増していきます。

借入をしなくても事業ができる等価交換は、デフレになるとブームになる傾向があります。

東京オリンピック後は、デフレを予想する論調も多いため、土地所有者の間で等価交換が再燃する可能性があるかもしれません。

4-2. ディベロッパーに全て委ねることができる

等価交換事業はディベロッパーが主体となって事業を進めて行くため、土地所有者は、基本的に建設費用を払わなくても事業を始めることができるというメリットがあります。

ゼネコンとの建築費交渉や工事中の行政手続きの対応等もディベロッパーへ委ねることができます。

等価交換事業は、特に立地が良く大きな敷地で行われることが多いです。立地が良く大きな敷地においては、相応の規模の建物を建てることができます。

ところが、個人にとっては、大きな建物を建てることは事業規模が大きくなり過ぎるため、不安も大きいです。

そこで、経験豊富なプロのディベロッパーが事業に参画してくれることは、かなり大きな安心感につながります。

ディベロッパーには、建築ノウハウも十分にあるため、竣工した建物も貸しやすい、または売却しやすいという特徴を持った建物にすることができます。

つまり、プロの知恵が詰まった建物になるため、労せずして資産性の高い建物を手に入れることが可能です。

全てお任せできるという点では、建設協力金方式と同じですが、借入金は発生しないという点では、大きく異なります。

等価交換方式は、借入をせず、かつ全てをプロに委ねることができるというメリットがあります。

5. 等価交換事業のデメリット

等価交換事業のメリットとしては、主に以下の2点があります。

  1. 還元床の決定にかなりの労力を要する
  2. 権利が複雑化する

5-1. 還元床の決定にかなりの労力を要する

等価交換で収益を向上させるためには、いかに還元床を多くするかが鍵を握ります。

建物の還元床が多いほど儲かるのはディベロッパーも同じです。

そのため、等価交換事業は建物の所有割合を決めるまでの協議が非常に労力を要するというデメリットがあります。

お互い多くの還元床が欲しいため、なかなか話がまとまりません。

等価交換事業は、基本合意まで至れば、あとはディベロッパーが全て行ってくれるため楽ですが、合意に至るまでは、何度も協議を繰り返すこともあります。

還元床を求めるにあたっては、土地の評価額を決める必要があります。簡単に言うと、土地の評価額が高い方が還元床は多くなります。

すると、土地所有者側は高い土地の評価額を主張し、ディベロッパー側は低い土地の評価額を主張しあうため、話がまとまらなくなります。

堂々巡りの議論が続き、なかなか協議が前進しないことも良く起こります。

実際の等価交換の現場では、土地所有者とディベロッパーが何度も飲み会を開き、仲良くなって妥結に向かうということも多いです。

理屈ではなく、ウマが合わない担当者とは、事業そのものが上手くいかないというウェットな性質も持っています。

5-2. 権利が複雑化する

2つ目のデメリットとしては、共同所有のビルとなるため、権利が複雑化するという点です。

例えば、オフィスビルの所有形態を共有とする場合、自由に売却できなくなるリスクがあります。

共有物件の売却は、共有者全員の同意が必要となります。

将来、お金に困って物件を売却したいと思っても、ディベロッパーの同意を得られず換金できないということもあり得ます。

一方で、マンションのように区分所有で物件を持つことになっても、権利は複雑化していることに変わりはありません。

区分所有となれば区分所有規約等が必要となってきます。

大規模修繕も勝手に行うことはできないため、建物の区分所有等に関する法律に従った対応をすることになります。

このような意味では、建設協力金方式の方が、土地建物は単独所有となるため、売却や管理を自由に行うことができます。

テナントへの借入金の返済は発生しますが、完全所有権というメリットは生まれます。

いずれにしろ、等価交換事業では、せっかくの土地をわざわざ複雑な権利にして建物を建てるということを行います。

実際、共有や、区分所有で建物を持つことを嫌がる土地所有者はとても多いです。

等価交換は長きに渡る共同事業となりますので、慎重に検討した上で決断するようにして下さい。

等価交換については、主に還元床が問題となることが多いです。

還元床に関しては、不動産の価値を客観的に評価する不動産鑑定士に相談してみるのが良いでしょう。

6. 等価交換事業の流れ

等価交換事業は、ディベロッパーからの提案が持ち込まれることがほとんどです。

そこでディベロッパーからの提案に基づく等価交換事業の流れを以下に示します。

  1. ディベロッパーからの提案
  2. 基本合意
  3. 建物設計
  4. 建築費の見積
  5. ゼネコンの決定
  6. 等価交換契約
  7. 着工
  8. 竣工
  9. 権利の移転

等価交換事業は希少性の高い良い土地で行われることが多く、ディベロッパーからは購入の打診もあります。

土地所有者に売却の意向がない場合、別の選択肢として等価交換事業の提案もあるという流れが一般的です。

提案で両者が納得すれは、基本合意を締結します。

等価交換事業では、ディベロッパーの提案を十分に検証することがとても大切です。

特に、還元床がどの程度になるかというのが重要になります。還元床が多ければ、土地所有者の収入が増えます。

還元床をどれだけ確保できるかは、最重要ポイントとなるため、基本合意を締結するまで、何度も検証を行います。

等価交換は長きに渡る共同事業となりますので、慎重に検討した上で決断するようにして下さい。

話をスムーズに進めるためには、第三者の不動産鑑定士をコンサルティングとして入れておくと無難です。

また、オフィスビルを建てる場合には、竣工後、ディベロッパーと共同所有となるため、何十年もディベロッパーとは運命共同体になります。

そのため、経済的条件だけでなく、ディベロッパーの実績や信用力、管理のノウハウ等も十分に勘案して意思決定することが重要です。

等価交換事業で協議の長期化を避けるべき理由尚、等価交換事業は、ディベロッパーとの協議が長期化してしまうと、その間に土地価格や建築費が変動するため、当初の計画がズレてしまうというデメリットがあります。

例えば、建築費が提案時よりも高騰してしまい、当初の収益計画を実現できなくなるというようなことは良くあります。

慎重に検討することは重要ですが、長引かせることにメリットはありません。

もし、等価交換事業が一番良いという判断があれば、早めに基本合意まで話をまとめてしまうことも重要なポイントです。

基本合意が締結した後は、その後の手続きはほとんどディベロッパーが行ってくれます。

ゼネコンへの建築費交渉等はディベロッパーが勧めます。

建築費が確定すると、ディベロッパーの出資額が確定しますので、還元床が何平米になるか確定することができます。

建築費が確定した段階で、等価交換契約を締結します。

ゼネコンとの請負契約はディベロッパーが締結します。土地所有者は建物竣工まで、特に何もやることはありません

建物が竣工したら最後に権利の移転で土地と建物を交換し、等価交換事業の完了となります。

7. 還元床面積の求め方

7-1. 還元床面積とは

等価交換事業では、最終的に土地所有者も建物の一部を所有します。土地所有者が最終的に保有する賃貸可能な床面積を還元床と呼びます。

還元床は、土地と建物を等価で交換した結果、還元される床という意味です。還元床では、最終的に建物の権利の割合と土地の権利の割合を同じにします。

建物の権利の割合と土地の権利の割合を同じにしないと、一部、借地のような関係が発生し、権利が複雑化するため、通常は建物と土地の権利の割合は同じです。

例えば、建物を土地所有者Aが50%、ディベロッパーBが50%ずつ保有した場合、土地の所有権割合もAが50%、Bが50%というようになります。

仮に、建物をAが10%、Bが90%持っているにもかかわらず、土地の所有権割合をAが50%、Bが50%としてしまうと、Bが土地の40%部分を借地するということになります。

建物を所有する人は、必ず土地に対して所有権または借地権といった権利を有する必要があります。

建物の権利の割合と土地の権利の割合が異なると、一部に借地が発生しますので、土地と建物の権利割合は同じにするのが基本です。

還元床面積を決める方法としては、「出資比率による方法」と「売価還元による方法」の2つの方法があります。

ディベロッパーからはいずれかの方法による提示がありますが、還元床は求める方法によって得られる床面積が異なってしまいます。

ディベロッパーが提示してくる還元床が、ディベロッパー側に有利となっている場合もありますので、土地所有者としては注意が必要です。

還元床を求め方については、土地所有者にとっては一番重要な知識となるため、しっかりと理解することが重要になります。

7-2. 出資比率による方法

最初に出資比率による方法についてご紹介します。出資比率による方法とは、土地所有者とディベロッパーの出資額の比率で案分する方法です。

出資というと、実際にお金を出すようなイメージがありますが、土地所有者の場合は、お金を出す出資ではなく、土地を提供する「現物出資」のことを指します。

つまり、土地所有者の出資額とは、「土地価格」のことになります。

以下のような具体例で、還元床を計算します。

諸条件 
物の総専有面積 3,000平米
土地所有者の出資額(土地全体の評価額) 3億円
ディベロッパーの出資額(建築費総額) 6億円

ここで、建物の還元床は、「専有面積」を基準とするのが注意点となります。

専有面積とは、廊下やエレベーター、階段等の共用部分を除く、実際に賃貸や売却の対象となる面積のことです。

言い換えると、専有面積とはお金を生む部分の面積となります。

還元床は、お金を生み出す賃貸可能な床面積となるため、あくまでも専有面積をどう配分するかという観点で考えます。

出資比率による配分方法は、出資額に応じて専有面積を配分します。

上述の例では、以下のように計算されます。

土地所有者の取得専有面積 = 3,000平米×{3億÷(3億+6億)}
= 3,000平米×(1/3)
= 1,000平米
ディベロッパーの取得専有面積 = 3,000平米×{6億÷(3億+6億)}
= 3,000平米×(2/3)
= 2,000平米

出資比率による方法でキモとなるのは、土地の評価額になります。

土地の評価額が高ければ、その分、得られる還元床も大きくなります。

双方で納得のいく土地評価額を求めるには、不動産鑑定士に共同発注で鑑定評価を依頼して、第三者の立場で価格を評価してもらう等の工夫が必要となります。

7-3. 売価還元による方法

2つ目に売価還元による方法を解説します。

売価還元による方法とは、ディベロッパーが出資した建築費総額と適正利潤の回収に必要な売上高を算定し、ディベロッパーがその売上高を確保できる専有面積を取得します。

土地所有者はその残りの床面積をもらうという配分方法です。

この方法は、等価交換事業によってマンションを建てる場合に使われることがあります。

以下のような具体例で、還元床を計算します。

諸条件
建物の総専有面積 3,000平米
ディベロッパーの出資額(建築費総額)  6億円
ディベロッパーの適正利潤 20%
マンション平均分譲単価(平米) 50万円

ここで、ディベロッパーの適正利潤とは、マンションディベロッパーが分譲マンション事業で確保する利益率のことを言います。

近年、ディベロッパーの確保できる利潤は低下傾向にありますが、ここでは端数の出ない計算数値を優先するため20%として計算します。

マンション平均分譲単価とは、分譲マンションの販売価格の面積単価の平均価格です。

マンション平均分譲単価(平米)が50万円としたら、80平米のマンションで4,000万円の新築マンションということになります。

上述の例で売価還元による方法によって還元床を計算すると以下のようになります。

ディベロッパーの必要売上高 = 6億円 ÷ (1 – 0.2)
= 7.5億円
ディベロッパーの必要床面積 = 7.5億円 ÷ 50万円
= 1,500平米
土地所有者の還元床面積 = 3,000平米 – 1,500平米
= 1,500平米

売価還元による方法では、「ディベロッパーの適正利潤」と「マンション平均分譲単価」の2つの設定がキモになります。

「ディベロッパーの適正利潤」と「マンション平均分譲単価」の数値次第で、土地所有者の還元床面積が大きく変わってしまいます。

ディベロッパーの適正利潤は、土地所有者にとっては本当に適正なのか見えない部分ですので、納得しにくい数値です。

また新築マンション価格は年によって大きく変動するため、基本合意時に適正なマンション平均分譲単価を設定しにくいというデメリットがあります。

ディベロッパーが保守的にマンション平均分譲単価を設定すれば、ディベロッパーの必要床面積が大きくなり、土地所有者の還元床面積が減る形となります。

売価還元による方法は、基本的にはディベロッパー目線で還元床が計算されることになります。

尚、たまたまですが、上述の例では売価還元による方法を採用しても、売価還元による方法の方が、出資比率による方法よりも多くの還元床が取得できました。

そのため、本ケースの場合は、売価還元による方法を採用した方が土地所有者に有利な結果となっています。

還元床は、土地価格やディベロッパーの適正利潤等、想定値を用いるため、その数字次第によって結果が異なります。

まずは、還元床を求める方法には2種類あるということを知り、どちらを採用するかは、十分に協議して決めるようにしだください。

協議の場には、第三者の不動産鑑定士を介在させておくと話がまとまりやすくなります。

7-4. マンションの還元床の注意点

マンションの還元床の注意点「分け方に注意」還元床を決めたとしても、マンションの場合には、場所や階数によって還元床の価値が異なるため、分け方には注意が必要となります。

例えば、建物の総専有面積が3,000平米のマンションを、土地所有者AとディベロッパーBで1,500平米ずつ分ける場合を考えます。

このマンションが、10階建てだった場合、例えば1~5階をAに、6~10階をBに分けてしまうようなことがあると、面積は同じであっても価値が異なるため、不平等な分け方となります。

マンションは、階数が高いほど高く売却できます。またバルコニーの向きも南側が一番高く、その次は東、西、北の順番で価格が下がります。

角部屋であれば中間部屋よりも価格が高いです。さらに4LDKと2DKでは、面積の小さい2DKの方が単価は高くなるというようなこともあります。

そのため、マンションは分け方次第では、価値が異なるという点が注意点です。

1,500平米ずつ分けるという話になれば、きちんと価値も等分になるような形でマンションを分けることが必要となります。

尚、マンションの総面積は3,000平米であっても、半分に部屋を分けようとしたら、1,520平米と1,480平米にしか分けられないということも当然にあり得ます。

このような場合には、実際にはどこか部屋を両者で売買することによって精算し、綺麗に分割した形で分けることになります。

そのため、還元床を求める方法で求めた理論上の還元床が、そのまま最終床になるとは限らないというケースは多くあります。

還元床は、あくまでもざっくりとした目標値であり、最終的には微調整を行った上で、所有床を決定することになります。

まとめ

いかがでしたか?

等価交換について解説してきました。

等価交換事業は、ディベロッパーが主体となり、ディベロッパーと共同所有の土地建物を建築する土地活用になります。

「交換」という言葉が使われますが、税法上は「買換え特例」を使います。

等価交換の最終形は、土地と建物がディベロッパーと共同所有となります。

事業の方式としては、土地の一部を売る部分譲渡方式が使われることが多いです。

等価交換方式のメリットは、借入もなく、ディベロッパーに全て委ねて事業を行うことができるという点です。

デメリットは、還元床の決定までにかなりの労力をようすることと、権利が複雑化してしまうという点になります。

最終的には還元床がどの程度確保できるかということがポイントです。

還元床の求め方を十分に理解し、損をしない等価交換を行うように心がけましょう。

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