誰でもわかる!相続対策にも役立つ「土地信託」のメリット・デメリットとは?

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「土地信託って何だろう」「土地信託は土地活用・相続対策に役立つの?」

普段は馴染みのない「土地信託」という言葉が気になる方は多いのではないでしょうか。土地信託とは、土地活用や相続対策に役立つ資産運用の一つの在り方です。

この記事では、土地信託の基本、メリットや注意点をお伝えします。
大切な所有地の活用方法の一つとして、ぜひ参考にしてみてください。

1. 土地信託とは

1-1. 土地信託の仕組み

土地信託の仕組みは「株式投資」と似ています。
株式投資をすると、投資家は働かなくとも収入を得ることができます。

例えば、配当利回り5%の会社の株式を100万円分買うと、投資家の懐には年5万円の配当金が入ります。

配当金は、投資家が働いて稼いだお金ではなく、企業の経営者や従業員が働いて稼いだ利益の一部です。

このことを「お金に働いてもらう」という言い方をしますが、もちろん会社の業績が落ちれば、投資家に入る配当金が減ってしまうこともあります。そういう意味では、投資家はリスクを背負って、その会社に自分の資産を託しているといえます。

会社に託す資産が「お金」である株式投資に対し、専門会社に「土地」を託して配当金をもらうのが、今回のメインテーマである「土地信託」の考え方です。

土地という資産を託された専門会社は、その土地に建物をたてて(土地活用して)賃料収入を得ます。賃料収入を得るのは専門会社自身ですが、土地を託した地主のもとには毎月配当金(賃料収入の分け前)が入ってきます。

地主は土地を専門会社に貸すだけなので、土地活用に必要な出費や手間をかけずに配当金を得ることができるのです。

なお、土地の所有権は、一時的に専門会社に渡るものの、信託期間が終わると返してもらえます。この点は、株式投資と違うルールになります。

自分の大切な土地を他社に預ける土地信託では、信託先の選定が極めて重要です。信託先の種類はおおむね、

  • 信託業務を行う信託銀行
  • 信託業務を専門に行う信託会社

の2つに大別できます。両者の違いについては、あとで詳しく説明します。

1-2. 向いている人

土地信託に向いている人は、おおむね次の2パターンです。

  1. 相続対策をしたい人
  2. 手間をかけずに土地活用したい人

土地信託が相続対策に向いている理由は、

  • 遺産分割の争いを回避しやすい
  • 相続税を減らすことができる

の2つに集約できます。

詳しくは後の章で解説しますが、土地信託が遺産分割の争いを回避しやすいのは、土地信託であらかじめ「誰が誰に相続するか」を契約段階で決めておくことができるからです。
それも、子どもから孫の代まで相続先を決められます。

土地信託で相続税を減らすことができるのは、信託会社に土地活用をしてもらえるからです。
託した土地に、アパートやマンションなどの建物をたてるだけで、相続税評価額を約10分の1に圧縮することができるのです。

また、土地信託は、手間をかけずに土地活用したい人にも向いています。それは、地主に代わって信託会社が土地活用をしてくれるからですが、プロに一任することで地主は次の大きな手間を省くことができます。

  • 資金調達
  • 土地活用の選定
  • 建物の運営

土地を信託会社に預けると、土地活用の事業主が信託会社になります。そうすると、信託会社の信用力を使って、事業プランによっては多額の資金調達ができるようになります

本来、銀行から融資してもらうには、事業プランの作成から窓口交渉とやるべきことが多岐に渡りますが、こうした手間も、信託会社に一任することができるのです。

さらに、一口に土地活用といっても色々な選択肢があります。賃貸マンション、高齢者施設、トランクルーム……と数えればキリがありません。

でも、土地活用のプロである信託会社に任せれば、土地に見合った最適な事業プランをたててもらえます。建築後の運営も、同様です。

「知識がないけど、手間をかけずに土地活用したい」という人にも、土地信託はおすすめです。

2. 土地信託の契約から満了までの流れ

土地信託は、10年から30年の長期期間契約が一般的です。

土地信託の全体の流れは、次の4ステップです。

 
  1. 信託契約を締結し、信託受益権を取得する
  2. 信託会社が運用する
  3. 委託者への配当
  4. 信託契約の終了後、土地建物が返還される

それぞれ簡単に説明していきます。

2-1. 信託契約を締結し、信託受益権を取得する

土地信託をする際に必要な手続きは、

  • 信託契約を締結する
  • 信託受益権を取得する

の2つです。

信託受益権とは、地主が信託会社から「配当」を受取る権利のことです。

土地活用するのは信託会社です。土地活用して得られた収益の一部を配当として、地主は収益を得ることができます。自分で土地活用せずに、収益を得ることができます。

信託契約を締結する上で、地主はパートナーとなる信託会社を選びます。
信託会社は大きく次の2種類です。

  • 信託業務を行う信託銀行
  • 信託業務を専門に行う信託会社

信託銀行の大半は、大手銀行グループです。「三菱UFJ信託銀行」「三井住友信託銀行」「みずほ信託銀行」などが該当します。

社会的な信用度が高く、安心できることがメリットです。また、併営業務と呼ばれる、相続関連業務や不動産売買の仲介業務なども行うことができるのが特長です。

一方、「信託業務を専門に行う信託会社」は、大手不動産会社のグループに多く見られます。「スターツ信託」「大東みらい信託」などです。

メリットは、アパートやオフィスビルなど特定の土地活用の実務に長けている会社の場合、その専門性の高さを期待することができます。

さて、信託会社にはさらに2つの種類があります。それが、

  • 運用型
  • 管理型

の2つです。

「運用型」は、更地から運用してくれる信託会社のことです。有名会社では、「スターツ信託」などが該当します。

一方、「管理型」は、土地信託したい土地にすでに建物が立っているときに、そのまま不動産を運用してくれる信託会社を指します。有名会社では、「大東みらい信託」などがそれに当たります。

自分に合う信託先を選び、信託契約を締結します。

信託契約を締結すると、土地の所有権が信託会社に移ります。同時に、地主は「信託受益権」を得られます。

所有権が信託会社に移るので、地主は不安になるかもしれませんが、信託受益権を確保できるため、その土地の実質的な地主は、ご自身のままなので安心できます。

この2つの登記手続きは、法務局で行います。

  • 所有権移転登記(所有権を地主から信託会社に移す)
  • 信託登記(信託会社から信託受益権を得る)

それぞれ同じタイミングで登記します。

2-2. 信託会社が運用する

さて、土地の所有権を信託会社に預けた後の業務は、信託会社に一任できます。土地を預かった信託会社は、地主の代わりになって、土地活用して収益を得ます。

信託会社に土地活用を任せられるということは、土地活用の際に本来行うべき

  • 事業計画の立案
  • 資金調達
  • 建築会社探し
  • 建築後の管理

といった地主に降りかかる手間が、土地信託ではすべて不要になります。
信託会社がどんな土地活用をするかは、立地や状況によってさまざまですが、おおむね賃貸経営がメインになります。

賃貸経営は、

  • 賃貸マンション経営
  • 高齢者施設の経営
  • 商業施設の経営

など賃料を得られる建物・施設全般になります。どれを選択するかは、信託会社の判断になります。

2-3. 委託者への配当

気になるのは、地主(委託者)がもらえる配当金額です。どの程度もらえるのでしょうか。

具体的な金額は信託会社がどんな土地活用するかに左右されますが、計算式の相場は決まっています。

配当金=信託会社が得る賃料収入-信託会社が支払う運営コスト-信託会社が得る信託報酬

土地活用で生み出された利益から「運営コスト」「信託報酬」の2つを差し引いた残りが地主の配当として支払われます。

運営コストとは、信託会社が支払うローン返済額や運営管理費、固定資産税などです。

信託報酬とは、土地信託の手数料のようなものです。その手数料は運用利益の5%~20%と会社により振れ幅があります。

2-4. 信託契約の終了後、土地建物が返還される

土地信託の契約期間が終わると、すべての資産が信託受益権を持つ地主のもとに戻ります。

戻ってくる資産は、土地だけではありません。信託会社が立てた「建物」「ローン残高」まで、地主のものとして与えられることになります。

残った建物は、そのまま運営するか売却するか、地主が判断することになります。ローン返済額が残っている場合は、返済を踏まえた決断が求められます。

ちなみに信託受益権は、契約満了と同時に消失します。しかしそのときの状況によっては、信託契約の延長もあり得ます。信託会社に相談してみることをおすすめします。

3. 土地信託の目的別メリット

信託会社に土地を預けて配当を受取る「土地信託」ですが、目的は大きく分けると次の2つです。

 
  1. 相続対策
  2. 土地活用対策

それぞれのメリットを詳しく解説します。

3-1. 相続対策

土地信託は、相続対策に役立ちます。

相続対策のリスクは、

  • 遺産分割の親族争い
  • 相続手続きが煩雑

などが挙げられます。これらを土地信託で相殺できます。詳しく見て行きましょう。

(1) 相続のもめ事を抑止できる

土地信託で相続のもめ事を回避できる理由は、あらかじめ「誰が誰に相続するか」を契約段階で決めておくことができるからです。

特に、孫世代の相続争いを防ぐのに最適です。

通常の相続では、地主の土地を子どもへ相続し、さらに遠い将来、その土地は子どもから孫へ相続されます。

一方、土地信託を行えば、相続する資産が「土地ではなく信託受益権」となり、さらに契約の際、孫世代までの相続先を決められます

あらかじめ相続させる人を孫世代まで決めてしまうことで、子から孫に相続するときの争いを自分の代で抑止することができます。

また相続する地主本人が認知症になったり、相続する配偶者や子どもが資産運用できない場合でも、自動的に配当金を得られるというメリットが働きます。

所有権を信託会社に預けて運用してもらえるということは、身内に不幸があったとしても、身内の誰かが判断することなく土地活用は継続されるということです。

信託受益権を持つ人のもとに継続して配当金が入る仕組みは、相続を控える家庭では安心できる仕組みとなっています。

契約期間は10~30年と長期に及びます。定期的に信託契約の見直しをして、都度調整しながら進めることをおすすめします。

(2) 節税効果がある

土地信託は、相続税の節税にも役立ちます。信託会社が賃貸マンションを立てれば、相続税評価額が約10分の1になります。

実際に相続が発生すると、相続税評価額が約10分の1になった信託受益権を相続することになります。

(3) 土地が建物付きで戻ってくる

信託契約が満了を迎えると、土地と建物が地主のもとに戻ります。

建物も地主のものとなります。そのまま運営して賃料収入を得ることもできますし、売却してまとまった資金を得ることも可能になります。

3-2. 土地活用対策

土地信託を使った土地活用では、あらゆる情報収集や判断、各種手続きをプロに任せられます。

具体的なメリットをご紹介します。

(1) 資金調達をしなくてよい

資金調達を信託会社に任せられるのは大きなメリットです。

資金調達では、賃貸マンションや商業施設の建築に必要な初期投資コストを金融機関から借り入れます。
数千万から数億円と多額の費用がかかる建築費を、キャッシュで賄える地主は一握りです。

また金融機関から融資を受けるにしても、その人の属性によっては獲得できる融資額が限定的になる可能性もないとはいえません。

ところが土地信託を使えば、信託会社が事業主となって資金調達をしてくれます
信託会社の大きな信用力があれば、融資審査のハードルは難なくクリアできるはずです。

また、融資審査に必要な事業計画書や各種手続きまで任せることが可能になり、大変便利です。

信託会社の資本力・信用力を使って、個人の力では難しい土地活用が、土地信託では可能になるわけです。

(2) 土地活用の知識が必要ない

土地信託は、土地活用の知識がない人にも最適です。

信託会社は土地活用のプロ集団です。地主本人に知識がなくても、事業計画の立案から管理まですべてを一任することができます

(3) 多様な土地活用が可能

信託会社は土地活用のプロなので、その土地に合う多様な土地活用をプロデュースしてくれます

土地活用の種類は実に多岐に渡ります。

  • 賃貸マンション
  • 高齢者施設
  • 駐車場
  • トランクルーム
  • コインランドリー
  • 商業施設
  • オフィスビル
  • 医療施設

他にもたくさんあります。自分の土地に合うベストな土地活用を教えてもらいましょう。

(4) 信託受益権を売買できる

毎月一定の配当がもらえる「信託受益権」は売買可能です。資産運用として柔軟な一面もあるのです。

契約満了で土地と建物、ローン残高が戻ってくる前に、その権利を他人に売ることが可能です。逆にいえば、他人の信託受益権を買って配当収入を増やす選択肢も考えられるわけです。

(5) 自己破産しても信託財産は処分されない

万が一自己破産・民事再生しても、信託財産は処分されません。口座凍結の心配もありません。相続人は変わらず配当を受け取れます。

ただし、地主が自己破産・民事再生することを踏まえたうえで信託した場合は例外になります。

4. 土地信託の知っておくべき注意点

土地信託には当然リスクが付き物です。建物を立てて収益を得る土地活用であることには変わらないためです。

変わるのは、プレイヤーと収益の仕組みだけです。

それでは、地主はどんなことに気をつければいいのでしょうか。4つの注意点をご説明します。

4-1. 利益の有無にかかわらず信託報酬が発生する

土地活用の運用益から信託会社に支払われる「信託報酬」が、利益の重しとなることがあります。

また、契約時に設定される信託報酬は、運用利益が出なくなったとしても支払わなければいけません

信託報酬に見合った運営をしてくれるのは、信託会社の実力に依存することになります。

4-2. 配当は約束されない

信託受益権があるからといって、配当が約束されるわけではありません。

土地活用で賃貸マンションをたてても、入居者が決まらず長らく空室が続けば、信託会社は収入が得られません。

収入が少なくなったからといって、そこから差し引かれる運営コストや信託報酬が少なくなるわけでもないです。

そのため、しわ寄せを被るのは、地主の配当金です。配当金の減額リスクは、常に頭の片隅に入れておきましょう。

4-3. 成否が信託会社に委ねられる

土地信託を行うと、土地活用の成功・失敗の命運は、信託会社に託す格好となります。
信託会社が土地信託に失敗すると、その失敗と損失を地主が穴埋めしなければならないことがあります。

例えば賃貸マンションの空室が埋まらないとき、

  • 募集広告を出す
  • リフォームして新しくする

といった追加投資が必要になるときがきます。
そのとき信託会社は、地主に支払う配当金を使って追加投資を踏み込むことがあります。

もっとも追加投資の判断、追加投資のコストをどれだけ抑えることができるかどうかは、信託会社の手腕にかかっています。

ある意味、地主と信託会社は運命共同体です。パートナー選びは慎重に行う必要があります

4-4. すべての土地が信託可能ではない

土地信託は、収益性が見込める土地でないと契約してもらえません

信託会社としては、自分らがもらう「信託報酬」と、地主に支払う「配当金」を土地活用によって毎月確保しなければなりません。

そのため、収益性の高そうな土地がどうかは極めて重要になってきます。

おおむね基準は、

  • 広ければ広いほどよい
  • 人通りが多いほどよい

となってきます。

一度、信託会社に相談することをおすすめします。

5. 土地信託はどのくらい稼げる?配当金や費用をシミュレーション

土地信託は、年間どの程度稼げるのでしょうか。以下の事例を追ってみましょう。

 
土地 賃貸マンション
敷地面積: 500平米
固定資産税評価額: 6000万円
建築費用: 1億円
借入金: 1億円
部屋数: 25室
家賃: 戸当たり月6万円

上の前提条件をもとに簡単に計算すると、地主が年間でもらえる配当金は、920万円です。

配当金の計算式は、

配当金=家賃収入−運営コスト−信託報酬

です。それぞれ当てはめると、

家賃収入

月6万円×25部屋=月150万円
月150万円×12カ月=年1800万円

運営コスト

ローン返済や管理費、固定資産税などを合算して700万円かかると仮定します。

信託報酬

家賃収入の10%と仮定すると、年180万円

配当金は、

1800万円−700万円−180万円=920万円(配当金)

と920万円が入る計算となります。

※事例は簡単な「目安」です。参考事例として捉えてください。

まとめ

いかがでしたか?

信託会社に土地活用の所有権を預けられる土地信託は、相続対策・土地活用対策に最適です。

メリットは、子から孫への相続争い抑止にとどまりません。相続税を安くしつつ土地活用の判断・運営をすべてを信託会社に一任することができます。資産を守ってもらいながら、地主は毎月配当金を得ることが可能です。

とはいえ土地信託にも制約があります。収益性の見込める土地でないと、信託契約ができません。あわよくば契約できても、土地活用に失敗すれば、その損失のしわ寄せは地主が受けることになります。

リスクを抱える以上、地主がきちんとメリットを得るには、信託会社選びが最も大切になってきます。

土地活用など資産運用方法の一つとして土地信託をご検討される方は、ぜひ参考にして下さい。

本記事の掲載内容は、最終更新日時点での情報です。
制度や法律については、改正等で内容に変更がある場合もございます。

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