アパート立ち退きを進める交渉術!気になる立ち退き料の相場とは

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教科書には載ってないアパートの立ち退き料と交渉術のすべて

老朽化したアパートで問題となってくるのは入居者の立ち退きです。「建て替えたい」もしくは「更地にして高く売りたい」と思っていたとしても、入居者を立退かせない限り、解体に着手することができません。

また、老朽化アパートではなくても、悪質入居者を退去させるときにも立ち退きを行う場合があります。

立ち退きはアパートオーナーが自ら行わなければならない仕事です。

アパートオーナーは入居者集めに関しては知識を持っている人も多いですが、入居者を退去させる知識を持っている人は、そう多くはありません。

立ち退きに関しては、入居者と賃貸人との間で裁判になることも多いため、立ち退きを着手する前には必ず法的な知識を一通り習得しておくことが必要です。

法律知識と言うと少しハードルが高く感じますが、噛み砕いた実践的な知識を紹介したいと思います。

ぜひ最後までお読みいただき、立ち退きに役立てて頂けると幸いです。

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1. アパート立ち退きの基礎知識

アパートの立ち退きを検討するにあたって、知っておくべきことを2点ご紹介します。

1-1.立ち退きに関する法律と背景

借主を退去させるには、正当事由にあたる理由や、立ち退き料 と呼ばれるお金が必要となります。 このような一連の解約の手続きを「立ち退き」と呼んでいます。

賃貸借における借主(入居者)と貸主(アパートオーナー)の権利や義務に関する規定は、借地借家法によって定められています。

借地借家法の立法趣旨は「借家人保護」であり、借主を保護するための法律です。

借地借家法では、借主の権利が強く守られているため、貸主であるアパートオーナーから一方的に解約することができません。>

また、アパートの様な賃貸借物件に関しては、アパートオーナーが部屋を返してもらうのに、借りている人に対して立ち退き料という金銭を払う必要があるのです。

立ち退き料は、およそ50~80万円の「引越代プラスアルファ」程度になります。

アパートの立ち退き料は、法外な金額とはならないということを、認識しておきましょう。

1-2.立ち退きは必ずアパートオーナー自身が行う

立ち退きに関しては、必ずアパートオーナーが自分で行います。

立ち退きは交渉ごとであるため、自分ではやりたくないと思われるかもしれませんが、法的に弁護士以外の第三者に任せることができません。

ここで登場するのが弁護士法です。

弁護士法とは、日本における弁護士制度を定めている法律になります。

弁護士法第72条では、以下のように定められています。

弁護士法第72条

弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

この条文によって、「弁護士以外の第三者が報酬目的で立ち退きのような紛争性の高い法律行為の代理人をしてはならない」と解釈されています。

弁護士以外の第三者が代理人となって法律行為を行うことを「非弁行為」と呼んでいます。

弁護士法で規定している「弁護士又は弁護士法人でない者」とは、立ち退き屋だけを指しているわけではありません。

管理会社なども「弁護士又は弁護士法人でない者」に該当しますので、管理会社に立ち退きを依頼するのもNGです。

もし、立ち退きを第三者に依頼したいということであれば、費用は発生しますが弁護士に依頼しましょう。

2.契約の種類と立ち退き

賃貸借契約には、

  • 「普通借家契約」
  • 「定期借家契約」

の2種類があります。 両者の違いは更新があるかどうかの違いです。

賃貸借契約書の中で、更新に関する規定がある場合には、それは全て普通借家契約になります。

普通借家契約とは、契約期間が満了しても、入居者(借主)が更新をしたいと申し出れば、更新ができる契約 です。アパートオーナー(賃貸人)が更新を拒絶したい場合には、立ち退きを行います。

定期借家契約とは、期間の満了に伴い、必ず賃貸借契約が終了する契約 になります。 定期借家契約では、立ち退きが問題にならないということになります。

一般的に、古いアパートの賃貸借契約は、ほとんどが普通借家契約で締結されています。 今まで入居者が何度も更新しているようなアパートは、普通借家契約で締結されていますので、立ち退きが必要になります。

立ち退きを行う前に、念のため普通借家契約であるかどうかを、賃貸借契約書を見て確認しておきましょう。

3.正当事由がないと立ち退きをすることができない

借地借家法では、入居者の立ち退きにはきちんとした理由が必要であることを定めています。このきちんとした理由のことを正当事由と呼んでいます。

正当事由について定めている条文は借地借家法第28条になります。

借地借家法第28条 (建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)

第28条 建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

この条文は正当事由が無ければ立ち退きをすることはできないということを定めています。

条文の中では正当事由の判断基準として「建物の現況」を挙げています。 建物の現況とは、現在の建物自体の物理的状況を指し、建物の建て替えが必要となっているかどうかを指します。建物が老朽化している場合のみならず、建物が社会的・経済的効用を失っている場合を含みます。

そのため、正当事由として、建物の朽廃が切迫しているような場合、更新更新拒絶または解約の申入れをすることができます。

また条文の中で「財産上の給付」という言葉が出てきます。 これは立ち退き料を表します。

借地借家法第28条では、正当事由に加えて立ち退き料を支払う申出を行えば立ち退きを行うことができると規定しています。

つまり正当事由があるだけでは立ち退きを行うことはできず、それに加えて立ち退き料を支払うことで、初めて立ち退きが認められるということになります。

賃貸借契約書上において、入居者(借主)に借地借家法第28条よりも不利な特約を締結している場合には、その条文は無効となります。

4.立ち退き料の内訳と相場

立ち退き料は入居者との交渉によって決まるため、「いくら」という正解はありませんが、ある程度の相場は存在します。

立ち退き料の基本的な考え方としては、「今の家賃と移転先の家賃の差額の1~1.5年分程度」が立ち退き料に相当すると考えられています。 住居の立ち退き料では、営業補償は発生しません。

立ち退き料の考え方一例

今の家賃が月6万円/移転先の家賃が月8万円の場合…

差額の2万円分を1~1.5年分補償するという考え方です。

2万円を12ヶ月~18ヶ月補償すると考えると、24万円~36万円が適正な立ち退き料ということになります。

また、アパートの立ち退き料としては、あまり理屈にこだわることなく、「引越代プラスアルファ」を補償するのが一般的です。

金額相場としては1戸あたり50~80万円程度ですが、 他の条件も付加された場合は100万円を超えることもあります。

また、このように立ち退きには立ち退き料が必要とで納得してくれる方が多いですなってくるため、なるべく立ち退きを要する戸数が少なくなった段階で着手するのがセオリーです。

建て替えにあたっては、なるべく自然退去を優先し、あとわずかの段階になったら立ち退きを検討することをおススメします。

立ち退きに関する費用や建て替えの進め方については、こちらの記事をご参考ください。

賃貸マンション建て替えはどう進める?費用感や立ち退きの注意点を徹底解説

4-1.引越し費用

引越し費用には、荷物の運送費や段ボールなどの資材費がかかります。

各引越し会社の見積もりによって大きく変わりますが、

  通常期 繁忙期
単身世帯 40,000円前後~ 54,000円前後~
4人家族 100,000円前後~ 200,000円前後~

このように、引越し時期によっても費用は大きく変動します。特に転勤や進学に伴う引越しの機会が増える3~4月は費用が高くなるので、入居者にはなるべく繁忙期を避けたタイミングで、立ち退きを交渉するとよいでしょう。

荷物量や移動距離、各引越し会社の料金プランによっても異なるため、この点についても入居者に説明する必要があります。

4-2.入居者の補償内容

立ち退き料は、入居者の年齢や職業、収入・健康状態などによっても提示する額が変わります。また立ち退きを命じる相手が個人か事業者かによっても、対応すべき内容は大きく異なってくるでしょう。それぞれの内訳は以下の通りです。

個人 事業者
  • 引越し費用
  • 新居に係る費用
    (敷金・礼金・仲介手数料)
  • 電話料金・インターネット回線料金
  • 新しい事務所の費用
  • 設備移転費用
  • 休業期間への補償

立ち退き命令は個人・事業者ともに、相手の生活や仕事に大きな影響を及ぼしかねません。特に事業用に貸し出している物件の場合、事業所や店舗そのものがなくなるため、家主側が休業期間中の補償金を支払う方が良心的といえます。

5.立ち退きの2つの方法とポイント

立ち退きを行う方法については、

  • 更新拒絶または解約の申入れによる方法
  • 定期借家に切替える方法

の2種類があります。 それぞれについて解説します。

5-1.更新拒絶または解約の申入れによる方法

更新拒絶または解約の申入れによる方法とは、書面にてストレートに立ち退きを申し入れる方法です。

書面にて更新拒絶または解約の申入れを行い、最終的には立退料を支払って退去させる最も基本的な方法となります。

更新時期が近ければ更新拒絶による方法を選択し、更新時期から遠く中途解約条項がある場合には、解約の申入れによる方法を選択します。

書面による申し入れをした後は、個別に話し合いを行い、立ち退き時期や立ち退き料の金額を取決め、立ち退きの合意を図ります。

5-1-1.定期借家切り替えのメリットとデメリット

この方法のメリットとしては以下の2点です。

メリット

  • 早期解決できる可能性がある。
  • 立ち退き料を少なくすることもできる。
デメリット
  • 正当事由と立ち退き料が必要となる。
  • 立ち退き料とスケジュールが読めない。

更新拒絶または解約の申入れによる立ち退きは、あくまでもアパートオーナーと入居者の話し合いで進めるのが基本です。

そのため、すぐに借主が納得して合意を取れれば、早期解決が図れる場合があります。また、話し合いの中で立ち退き料が安くなったり、不要となるケースも少なくありません。

ただし、更新拒絶または解約の申入れによる立ち退きでは、申入れにあたり、正当事由が必要となります。また正当事由を補完するための立ち退き料も必要です。

更新拒絶または解約の申入れによる立ち退きは、全て話し合いで決めますが、話し合いが上手くいかないことも当然にあり得ます。

つまり揉めてしまえば、立ち退き料も高額となる可能性もあり、いつまでも入居者が退去せず、交渉が長期化してしまうため注意が必要です。

5-1-2.十分な話し合いが最大のポイント

更新拒絶または解約の申入れによる立ち退きは、あくまで話し合いが基本となるため入居者と誠意をもって話し合いを行うことが重要です。

入居者も不用意にアパートオーナーと揉めたいと思っている人はいません。 誠意をもって接すれば、理解が得られるケースがほとんどです。

但し、最初からケンカ腰の対応や、一方的な通達等、相手を怒らせてしまう対応してしまうと、そこからボタンの掛け違いが生じ、話がこじれてしまいます。

書面による通達も、必ず訪問して相手に手渡しするようにして下さい。 事前に「ちょっとご相談したいことがあります」といってアポイントを取って行くのが良いでしょう。

立ち退きの成否は、理屈ではありません。 上手くいくかどうかは、アパートオーナーの人間的な誠意、真摯な対応にかかっています。 きちんと向き合って、入居者のハートをがっちりと抑えるようにして下さい。

5-1-3.立ち退き料を支払う

更新拒絶または解約の申入れによる方法は、立ち退き料を支払いが発生します。

ただし、法外な要求をされた場合はすぐに応じず、話し合いが必要です。

また、管理会社にも協力してもらい周辺の同水準の家賃の募集物件を集め、物件紹介も同時に行うことがポイントです。

入居者に「ここ以外住む場所がない」とか、「他の物件は高いから引越せない」等々の主張をさせないためにも、現実に募集されている物件を提示することが重要です。

今の物件よりも家賃が安く、なおかつ、駅に近い、築年数が新しいといった物件を提示できると、入居者が退去を拒む言い訳を減らすことができます。

ある程度の立ち退き料の提示と代替物件の提示を行い、誠意を伝えるようにして下さい。

5-2.定期借家への切り替え方法

立ち退きでは、今の普通借家契約を定期借家契約に切替えるという方法もあります。

定期借家への切替えは、今の契約を合意解除して、新たな定期借家契約を締結します。

5-2-1.定期借家切り替えのメリットとデメリット

この方法のメリットとしては以下の2点です。

メリット

  • 立ち退き料が発生しない。
  • スケジュールが確定する。
デメリット
  • 今の契約が合意解除できるかどうか分からない。
  • 立ち退き完了までに時間がかかる。

定期借家に切替えることに成功すれば、立ち退き料は発生しません。 また定期借家の満了期間が立ち退き完了期間となりますので、金銭面とスケジュールが確定できるます。

ただし、 入居者が拒めば、定期借家に切替えることはできません。

また、数年間は定期借家期間を設けて貸し出すことから、切り替えまでの交渉などの時間も考えると、立ち退き完了まで長期間必要となる可能性があります。

定期借家の切替えは、方法の一つではありますが、早く建て替えをしたい人にとってはおススメできない方法となります。

5-2-2.定期借家切替ができるアパート

アパートのような居住用の建物に関しては、普通借家契約が2000年(平成12年)3月1日より前に締結されている入居者については、定期借家への切替えはできないというルールになっています。

定期借家制度が取り入れられたのが、2000年3月1日であるため、それより前に締結された普通借家契約に関しては、定期借家への切替えができないこととなっています。

尚、店舗等の居住用を除く事業用の建物に関しては、2000年3月1日より前に締結されたものでも定期借家へ切替えることができるとされています。

5-2-3.賃料減額と期限を決める

定期借家への切替えは、入居者にとって不利となる契約条件の変更です。

そのため、通常は現行の賃料を減額して妥結することが多いです。 現行の賃料の7~8割程度の水準で妥結し、契約期間は2年程度となるのが一般的なイメージになります。

契約期間を短くするのであれば、もっと賃料を減額する必要があります。 例えば3割程度にして半年とか、5割程度にして1年間等にするといった感じになります。

賃料減額の幅と期限には正解はありません。 あくまでも話し合いによってお互い納得する水準で妥結することになります。

6.立ち退きの交渉をする際の流れ

アパートの立ち退きは、おおよそ6ヶ月~1年前には入居者に伝える必要があります。大まかな流れは以下の通りです。

  • 立ち退き通知書を入居者に送る
  • 口頭で入居者に立ち退きについて説明する
  • 立ち退き料を交渉する
  • 退去手続きを行う

それぞれの項目について、詳しくご説明します。

6-1.立ち退き通知書を送る

まず、立ち退き通知書を書面で入居者に送ります。

書面には「立ち退きが必要な理由」や「立ち退き時期」などできるだけ詳しく記入した方が良いでしょう。

早い段階で伝えるとは言っても、いきなり立ち退き通知書が届けば、入居者は驚くものです。また、話し合いがこじれて裁判になる可能性も少なくありません。立ち退きの交渉をスムーズに進めるためにも、「アパートの老朽化」「管理主の経済的事情」「入居者の賃料滞納」など、理由はなるべく詳しく説明する必要があります。

6-2.口頭で立ち退きの説明を行う

書面を送付した後は、それぞれの入居者と直接顔を合わせて立ち退きについて説明する機会を設けます。このタイミングをもって入居者の了承を得られるように交渉を進めることが重要となります。

入居者に立ち退きについて了承を得られれば、立ち退きにかかる費用について説明します。

6-3.立ち退き料を交渉する

入居者に対し、立ち退き料の金額を提示します。

稀に立ち退き料を支払わないケースもありますが、ほとんどのケースで立ち退き料の支払いが必要です。

一般的に立ち退き料は、家賃の6ヶ月分だと言われていますが、この限りではありません。立ち退き料には引越し費用のほか、転居先の敷金や礼金、その他諸費用が含まれるため、相手によってその額にはバラつきがあります。

また、最初に提示した額で入居者が納得するとは限りません。立ち退き理由が正当でない場合は、立ち退き料を増やすことで、入居者に納得してもらうケースも存在します。正当な立ち退き理由があったとしても、お互いが納得するまで交渉を慎重に進めた方がよいでしょう。

6-4.退去手続きを行う

立ち退き料の交渉が終わり次第、退去手続きを行います。

退去日には、入居者とともに部屋にキズや汚れが無いかを確認しておきます。入居者から鍵を返却された後は、敷金の全額および修繕費用を差し引いた残額を入居者に返金します。

ちなみに、指定日までに立ち退き交渉がうまくいかない場合は、裁判によって決着を付けることになります。退去の正当性が認められれば、入居者に退去を強制執行できます。

7.立ち退き時のトラブル対処法

立ち退きが円滑に進めば問題ありませんが、時にはトラブルが発生することもあります。ここでは、トラブルの対処法について例を挙げて説明します。

7-1. 入居者が立ち退きに応じない

立ち退き理由や立ち退き料を提示しても、入居者が納得せず立ち退きに応じない場合は、裁判を行い決着することとなります。

裁判では「立ち退きの正当事由は適当か」や「立ち退き料の額は妥当か」が大きな争点になると考えられます。

立ち退きの正当事由が裁判で認められれば、立ち退きの強制執行が可能となります。

7-2. 部屋の修繕費用を請求してトラブルに発展

立ち退き時のトラブルには、部屋の修繕費用・クリーニング費用の請求時にも起こり得ます。

この場合、部屋のキズや汚れがいつ付けられたかが争点となりますが、入居者側が入居時・退去時の写真を撮っている可能性も充分考えられるので、立ち退き時の確認時には細心の注意を払わなければなりません。

もし修繕費用・クリーニング費用の請求でトラブルに発展した場合も、早めに弁護士に相談するのがベターです。

8.立ち退き通知書の書き方

立ち退き通知書が突然届けば、入居者は驚いてしまいます。

交渉時にトラブルにならないためにも、立ち退きの理由・立ち退き料についてはなるべく事細かに書き、最初の段階で入居者に納得していただくことが重要です。ここでは、立ち退き通知書に記載が必要な内容について解説いたします。

8-1.立ち退き通知書は6か月前の送付が基本

まず、立ち退き通知書には、最低でも以下の項目については分かりやすく記載した方が良いでしょう。

  • 立ち退きの理由
  • 立ち退きまでの期限
  • 立ち退き料の詳細

これらを記載した立ち退き通知書は、遅くても立ち退きしてほしい日から約6ヶ月前には送るべきです。

併せて、通知書の書き方について参考例をご紹介します。

令和○○年○月○日

●●都●●区●● ●●番地●
●● ●●(名前)殿

〇〇都〇〇区〇〇 〇〇番地
〇〇(名前) 印

通知書

私は貴殿に対し、令和●●年●月●日より私の所有する下記の建物を賃貸してまいりましたが、賃貸借契約は令和○年○月末日をもって期間満了となります。

当マンションはひどく老朽化しており、これ以上の管理・維持が困難なため、解体する旨を通知いたします。

そのため、本書面をもちまして当マンションを6ヶ月以内に明け渡して下さいますようお願い申し上げます。

退去時に必要な費用につきましては、敷金の返還および転居先への引越し費用、敷金・礼金を負担させていただきます。

つきましては明け渡し日が確定いたしましたらご連絡ください。退去手続きおよび敷金等の返還手続きを行わせていただきます。

勝手ではございますが、ご了承のほどよろしくお願いいたします。

建物
所在 ●●都●●区●● ●●番地●
家屋番号 ●●番●
種類 居宅
構造 鉄筋コンクリート4階建
床面積 1階 ●●・●●平方メートル
2階 ●●・●●平方メートル

引越しおよび新居探しには多くの経費と時間がかかります。入居者にいらぬ不安を抱かせないためにも、なるべく早く送付することをおすすめします。

9.立ち退きを行うにあたっての注意点

立ち退きを行うにあたっては、知っておかなければならない注意点があります。 そこで、最後に立ち退きの注意点についてご紹介します。

9-1.賃料増額は避ける

賃料増額を要求することで立ち退きを促すという方法もあります。 しかしながら、おススメできない方法ですので、賃料増額による立ち退きは避けるべきです。

良くあるケースとして、賃貸人から立ち退きを意図として賃料増額を要求する場合があります。 賃料増額の要求自体は法的に認められた行為ですので、特に問題ありません。

立ち退きを意図として行う賃料増額は、いわゆる入居者に対しての「嫌がらせ行為」です。 入居者からすると、高い賃料は払いたくないので、諦めて退去していくというケースを狙った行為になります。

但し、ここで注意をしなければならないのが、賃料の供託制度です。

賃料の増額交渉では、アパートオーナーが現状の賃料に不服がある場合、今の家賃の受領拒否を行う流れになります。

この場合、アパートオーナーが家賃を受け取ってくれない場合、入居者は家賃を法務局に供託することができます。

たとえ、アパートオーナーが家賃を受け取らなくても、入居者が法務局に家賃を供託し続けていれば、家賃滞納とはなりません。 そのうち、更新時期を迎えたとしても、法定更新されてしまいます。

このような自体が長引いてしまうと、場合によっては適正賃料の裁判まで発展する恐れがあり、長期化してしまいます。

立ち退きを行いたい場合には、賃料の問題とは切り離して考え、進めていくべきです。

9-2.裁判は避ける

立ち退きにおけるトラブル解決をするために、裁判という手段もありますが、可能な限り避けるべきです。

裁判となってしまうと、その判断の根拠は社会常識ではなく、法律に基づくものになります。 ここで注意をしなければならないのが、借地借家法を基に考えられる点です。

借地借家法の立法趣旨は、「借家人保護」が目的であり、入居者の立場を保護するための法律です。

借地借家法では、賃貸人の方が弱い立場にあるため、裁判のような法的な場になると、賃貸人の主張が通りにくくなるのです。

立ち退きで裁判では、そもそも判断の根拠が借家人保護を目的とした借地借家法によって行われるため、賃貸人(アパートオーナー)にとっては不利な状況となります。

交渉の段階で、入居者が要求してくる立ち退き料が若干高いと感じても、裁判を避けた方が、金額も安く、解決も早かったとうことが良くあります。

裁判は、本当に交渉では解決できなくなってしまった限り、最終手段として行うべきです。 安易に裁判を行わず、話し合いで解決するようにしましょう。

まとめ

いかがでしたか? アパートの立ち退きについて見てきました。

  • 借地借家法では借主の権利が守られているため、入居者を簡単に退去させることができません。
  • 普通借家契約では、入居者を退去させるためには、立ち退きの正当事由が必要です。 立ち退き料は正当事由を補完する関係にありました。 立ち退き料を支払うことにより、正当事由が完全なものとなり、立ち退きが正当化されます。
  • 立ち退きの方法としては、更新拒絶または解約の申入れによる方法と定期借家に切替える方法があります。 アパートであれば、どちらかというと更新拒絶または解約の申入れによる方法がおススメです。
  • また、立ち退きは、「自分で行う」、「賃料増額は避ける」、「裁判は避ける」といったことが注意点となります。

法的な知識を踏まえ、誠意をもって対応するようにして下さい。

本記事の掲載内容は、最終更新日時点での情報です。
制度や法律については、改正等で内容に変更がある場合もございます。

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